温海かぶとは
温海かぶは寛文12年(1672年)の「松竹住来」に庄内の産物として記されており、400年以上も前から栽培が行われてきました。1600年代の覚書には既に庄内地方の産物の一つとして記されており、天明5年(1785年)に徳川将軍に献上された記録もあります。
温海かぶは、白かぶに比べ、旨み成分であるグルタミン酸を2〜4倍多く含み、その旨みとほどよい辛味、歯ざわりの良さが特徴です。

温海かぶの焼畑栽培方法
1.草刈り(雑木の伐採含む) 7月 伐採後、1〜3週間乾燥
2.山焼き(火入れ)   8月上旬〜中旬 夏の暑さの中、過酷な作業
3.は種(種まき)   山焼き後、数日後に発芽
4.間引き・草取り   栽培期間中
5.収穫   10月上旬〜11月中旬

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やまがた特別栽培農産物認証 温海かぶ
平成18年度、山形県農業振興機構より、栽培期間中無肥料・無農薬で栽培した「特別栽培農産物」の認証を取得しました。平成18年度の栽培面積は、ほ場数10箇所、栽培面積1.8ヘクタール、出荷量は16.4トンでした。

認証シール

「やまがた特別栽培農産物」温海かぶの基準
1.杉の伐採跡地、かつ、伐採初年度の土地で栽培
2.伝統的な焼畑農法での栽培
3.栽培期間中無肥料・無農薬
機構の認証基準は農薬・肥料を慣行の5割以上減じて栽培したものとしておりますが、独自にハードルを高く設定し、安全とおいしさを追及しています。

焼畑栽培のメリット
焼畑によって、土の中の栄養素が溶け出し、土がパワーアップします。
     焼畑により、植物が必要とする窒素含量が数倍に増加します。温海地域の土壌は火山灰性のため、カルシウム・カリウム・ナトリウムが豊富な上に、焼畑により更にミネラルたっぷりの土になります。
長年堆積した杉の枝葉が腐葉土となり、上質の土を作ります。
  天然の肥料となり、無化学肥料栽培が可能です。
雑草が除去され、病原菌も焼けてしまうため、無農薬栽培が可能です。

業界人コメント:温海かぶ生産者 佐々木 茂
温海かぶは、私が住んでいる一霞集落で400年もの昔から山の傾斜地を利用した焼畑農法により栽培されてきました。生産者の一人として、この伝統的な農法を守り「温海かぶ」を収穫することは、先祖が残してくれた宝と思っています。
7月の暑い盛りからの作業で、特に8月の火入れは体力の限界を超えるほど辛い作業ではありますが、本場として自然食・本物「温海かぶ」を消費者の皆様にお届けできればと、真心こめて焼畑栽培に取り組んでいます。

《プロフィール》
■ 佐々木 茂 氏
鶴岡市一霞在住。
昭和59年に設立された「一霞温海かぶ生産組合」の三代目組合長。
栽培から収穫、甘酢漬け漬け込み作業、発送まで手がけ、本場の味、伝統を継承する。
平成17年・18年山形県特別栽培農産物の認証を取得し、杉伐採後焼畑(期間中無農薬・無化学肥料)の特別栽培を推進する。
     
業界人コメント:つけもの処 本長 店主 本間 光廣
山形県の、それも特に庄内地区で漬物業を営む業者にとって秋の「温海かぶ」は夏の「茄子」とともに欠くことのできない商材になっています。
「温海かぶ」のような地域特産漬物は、他地域の業者がいくら頑張って売り込みを図ろうとしても、売れないという特異性があります。「千枚漬け」が京都産と隣接している大阪産とでは売れ行きがぜんぜん違うように。今、漬物でも安価な海外産が市場に入ってきています。こんな時、特産漬物は我々の大きな力になります。ただこのことに安住することなく生産者ともども、品質の飽くなき向上を図り、諸先輩の努力で築き上げてきた、特産漬物「温海かぶ」の名声を高めてゆきたいと思っています。

《プロフィール》
■ 本間 光廣 氏
鶴岡市大山在住。
「野菜の粕漬」製造を始めて90余年の老舗「本長」の三代目店主。
地元の新鮮な旬の野菜、山菜にこだわり、風味豊かな漬物をつくり続けている。
温海かぶブランド商品開発推進協議会委託事業において、新たな商品開発に向けた漬物の試作品づくりに携わる。