−連載− 広報つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! Vol. 2 子供の「出べそ」と大人の「片頭痛」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。2回目となる今回は、小児外科と神経内科です。  なお、荘内病院は、令和5年8月に紹介受診重点医療機関に認定されました。かかりつけ医からの紹介状を持って受診していただくことに重点をおいた医療機関であることを広く知っていただき、外来の混雑緩和やスムーズな受診につながることを目指しています。 ◯問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 小児外科 「出べそ」の治し方を教えてください 2歳の娘の母親です。生後2週間頃に「出べそ」が出始め様子を見ていましたが、なかなか治りません。このまま放置して大丈夫でしょうか。  赤ちゃんは生後1週間くらいで自然に臍帯(さいたい)(へその緒)が脱落し、これとほぼ同時におなかとつながる穴も閉じるため、おへそのくぼみがきれいに形成されます。しかし、中には臍帯が脱落しても、おなかとつながる穴が完全に塞がらないで皮膚だけが覆ってしまうことがあり「臍(へそ)ヘルニア」といわれる脱腸状態になることがあります。  臍ヘルニアは放っておいても治る場合が多いですが、中にはおへそのくぼみができず、皮膚が凸状に余った状態のままのお子さんもいます。このような状態を「出べそ」と言い、おへそがくぼむスペースがなくなり、くぼみができないため、臍形成手術が必要となる場合がほとんどです。  当科では臍ヘルニアの段階でスポンジを用いたテープ圧迫治療を行っていますので、まずはご相談ください。お子さんの状況に合った治療方法を一緒に考えていきましょう。  なお、当院のホームページには手術創部の写真が掲載されています。    荘内病院の小児外科  小児外科専門医が常勤している病院は県内で3つしかなく、荘内病院はその内の1つです。当科では、0生日の新生児から中学生まで、手術を必要とする病気だけでなく、嘔(おう)吐や便秘などのつらい症状のお子さんも診療しています。  手術では、できる限り傷がきれいになるように工夫しています。また、傷が小さく早期回復が可能となる、体に負担の少ない腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術を積極的に行っています。 小児外科医師 大滝 雅博 神経内科 頑固な片頭痛を何とかしたいです 30代です。高校生の頃に片頭痛を発症し、時々頭痛薬を飲んでいますが、最近症状が強く仕事に支障を来すほどです。良い治療法はありますか。  片頭痛は8・4%の人が有している頻度が高い疾患です。20代?40代の若い人に多く、特に女性は男性より3・6倍多いとされています。一般的に片側性及び拍動性(脈を打つような頭痛)とされていますが、両側性や非拍動性(締め付けられるような症状)の場合も多く、緊張型頭痛と間違われるケースもあります。  頭痛発作時は光や音に過敏となって吐き気などを伴う場合もあり、日常的な動作で頭痛が悪化することも特徴です。  頭痛が続いても鎮痛剤を服用し我慢している人も多く、労働生産性や日常生活の質の低下などが問題になっています。まずは、ほかの脳疾患がないか画像検査などを行い、頭痛を引き起こす原因を避けるなど、生活習慣の見直しをしながら、適切な薬物療法を行う必要があります。なお、片頭痛に特化した薬には、トリプタン製剤があります。  日常生活に支障のある頭痛が月に3回以上、生活に支障がなくても月に6日以上頭痛があれば、予防療法を検討します。2021年には片頭痛の原因となるCGRPを抑制する抗体薬が使用可能になりました。これまでの予防薬の効果が十分でない場合が対象ですが、治療後に「人生が変わる」効果を実感する例も見られます。    荘内病院の神経内科  「一次脳卒中センター」に認定されていて、当科は脳神経外科とチームで超急性期治療に24時間対応をしています。  また、脳卒中再発予防や神経難病(パーキンソン病やALSなど)に対してICTネットワークを利用した多職種連携も行なっています。さらに、2019年からは慶應義塾大学と連携して鶴岡市「認知症予防調査」研究にも取り組んでいます。 神経内科医師 丸谷 宏 令和5年11月号 No.308 環境に配慮し植物油イ ンキを使用しています