‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 6 「皮膚がん」と「歯の治療」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。6回目となる今回は、皮膚科と歯科口腔外科です。  当院では7月に「緩和ケア内科」を開設しました。がんや治癒困難な病気の患者さんの痛みやけん怠感などの様々な身体的症状、落ち込みや悲しみなどの精神的な苦痛を和らげる専門的治療を行います。 ◯問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 皮膚科 皮膚がんなのではないかと心配です なかなか治らないできものがあり、皮膚がんではないかと心配です。皮膚がんの特徴や種類を教えてください。  皮膚のできものには、良性と悪性の腫瘍があります。その内、 悪性である皮膚悪性腫瘍がいわゆる皮膚がんです。皮膚がんには、皮膚で最初に発生した皮膚がんと、ほかの臓器がんから転移した転移性皮膚がんがあります。  皮膚がんの中で最も多いのは、 基底細胞がんです。基底細胞がんは、皮膚の表面に当たる表皮の基底細胞や、毛包を構成する細胞から発生し、黒っぽいものが典型的です。転移はごくまれですが、放置すると骨まで破壊します。高齢の方の顔面に発生することが多いですが、ほかの部位や30歳代くらいの若い方にも見られます。  次に多いのが有棘細胞がんで、やけどの痕や日光角化症などに続けて発症することがあります。転移の有無が生命予後に関係します。腫瘍が大きかったり、免 疫が低下していたりする場合、 転移の頻度は高くなります。  そのほか、ほくろのがんの悪性黒色腫や、汗を出す汗腺由来の汗腺がん、脂腺からの脂腺がんなどの皮膚がんがあります。  診断には、病変の一部または全部を切り取って調べる検査が必要です。顕微鏡で調べる病理検査を行い、皮膚がんかどうか診断します。 荘内病院の皮膚科  当科では、かかりつけ医と連携して専門的な検査や治療を行っています。皮膚に関する心配事は、まず、皮膚科専門の開業医を受診することをお勧めします。  当院皮膚科の受診が必要な際は、当院の地域医療連携室を経由して予約をお取りしています。 皮膚科医師 吉田 幸恵 歯科口腔外科 骨粗しょう症の薬を服用中でも、歯の治療はできる? 70代女性です。骨粗しょう症の薬を服用していますが、薬の副作用で歯の治療が難しくなると聞きました。詳しく教えてください。  骨粗しょう症は骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。主な要因として、加齢や運動不足、女性ホルモンの減少などがあり、多くは閉経後の女性に発症します。治療には、骨吸収を抑える薬(骨吸収抑制薬)が使用される場合が多いです。  この薬の使用経験がある患者さんで、虫歯や歯周病による炎症を放置していると、顎の骨の細胞が死滅し腐った状態(顎骨壊死)が発生することがあります。そうなると、歯茎の腫れや痛み、うみの排出、骨の露出などが生じ、その後の歯科治療は困難となり、口腔外科での治療が必要となります。  予防するには、薬が開始される前の歯科検診と治療、開始された後の歯磨きなどのセルフケア、歯石除去などの定期的な予防歯科治療が重要となります。  昨年から鶴岡地区歯科医師会と協力して、「骨吸収抑制薬剤使用中」のシールをお薬手帳に貼り、医科・歯科・薬局が連携する取り組みを開始しています。これからは、骨粗しょう症の治療とともに、継続して歯科治療も行いましょう。    荘内病院の歯科口腔外科  顎・顔面・口腔の疾患に対して、診察・手術を行う診療科であり、一般歯科治療は行っていません。主な疾患に、口腔がん・良性腫瘍・のう胞・外傷・炎症・顎関節症・先天異常・顎変形症などがあります。  特に口腔がんはまれな疾患ですが、発見が遅れ進行した場合は治療が難しくなります。その際、当科では大学病院やがん専門病院などと連携して診療しています。 内科医師 安宅謙 令和6年7月号 No.316 環境に配慮し植物油インキを使用しています