デザインで あふれるアイデアが みんなと楽しむ原動力! 人(ひと)の情景(じょうけい) scene 13 井上 夏 Natsu Inoue  藤島地域の農家に嫁いで21年。  井上夏さんは、農業法人の経理・広報・営業を担当するなど、農業女子として活動しています。 ?「子供が小さいうちは母親が子育てした方がいいよという義母の言葉もあって、農業の手伝いは一切やっていませんでした。2人目が生まれた頃、頼まれてパソコンで経理の仕事を手伝うようになったんです」。  以来、ポン菓子の商品開発やパッケージデザインの企画も行うようになり、インターネット販売やSNSでの発信、営業販売など、対外的な仕事を担うようになっていったそう。 ?「今年、名古屋の百貨店で山形県物産展があり、主催者からうちの農場に『おにぎりを出してほしい』って声が掛かったんです。先方はのり付き・具入りをイメージしていたんですが、つや姫のおいしさを最大限引き出したかったので、添えるおかずから容器まで見本を一通りそろえて、直接商談に行きました」。  そこで夏さんが提案した「つや姫極み塩むすび弁当」は、出羽三山の水で炊いた農場特製のつや姫を、日本海の海水で作った塩だけで握り、赤かぶ漬けとしそ巻きを添え、おひつと同じ木の皮で出来た容器に詰め た、こだわり尽くしの一品でした。庄内米のおいしさをお客さんに伝えるストーリーを添えてSNSでも宣 伝したところ、大成功。「1日100個限定のお弁当が、初日は開始30分で完売したんです。翌日からは炊飯器を追加で借りて数を増やし、1週間で1、000個が売れました。」  また夏さんは、地域づくり活動にも関わっていて、2019年から藤島歴史公園「Hisu花」のイルミネーションを企画するワークショップのリーダーを務めています。 ?「最初は『公園作ったけど、どうやって人を呼ぼうか』って会議だったんです。話合いの結果、イルミネーションを増やして、点灯式としてマルシェ形式のイベントを企画しまし た。そうしたら人が集まったので、『2年目からは夏さんがリーダーね』と決まったんです。音楽フェスをやったり、コロナ禍に点灯式の様子を生中継したり、私の出したアイデアをみんなが形にしてくれます。県内のほかのイベントとも競い合って、もっと藤島を盛り上げたいですね」。  そんな夏さんがいつも心掛けているのは、今を楽しむこと、そして、そのために何ができるか考えること。また、「農業を通じて、子供たちが将来農業をやりたいと思えるようにしたい」と夢を語ってくれました。  周囲の人を楽しさ≠ナ巻き込みながら動いていく夏さん。あふれるアイデアを原動力に、未来への種まきを続けていきます。 ▲物産展で大好評を博した塩むすび弁当。木の皮の容器は湿気を吸い、おにぎりがべた付くのを防ぐ。 ▲東京・六本木のスーパーマーケットでの出張販売。出店を心待ちにしてくれるお客様も多いそう。 ▲藤島歴史公園「Hisu花」の活用を話し合った「Hisu花ワークショップ」。藤島を盛り上げたい市民有志と市職員がイベントの在り方などを討論した。 井上 夏(いのうえ・なつ) さん(43) 酒田市出身。酒田商業高校卒業。結婚を機に旧藤島町へ。3人の子育てと並行して、活苡續_場の取締役として経理・広報・営業を担当。全国農業女子プロジェクトやまがた農業女子ネットワーク発起人。趣味は美容や断捨離。休日は農場のスタッフと一緒に買い物に出掛けたり、パンを焼いたりしてゆっくり過ごしている。好きな季節は夏。 インスタグラムで情報発信中!