特集 部活動の地域移行  学校教育の一環として取り組まれている中学校の部活動の在り方が今、変わり始めているのを知っていますか?  部活動は、これまでは学校が主体となって行ってきましたが、学校以外の団体が主体となる地域クラブ活動への移行が進められています。  今回の特集は、学校・地域・市が連携して取り組んでいる「部活動の地域移行」を紹介します。     ●問合せ 学校教育課(櫛引庁舎)?57‐4864 部活動の地域移行の目的  地域移行を進める目的は、将来にわたって、子供たちが希望するスポーツや文化活動を楽しめる機会を確保することです。  近年、少子化の影響により、部員数が不足し休部となったり、学校単位で団体競技のチーム編成ができなくなったりするなど、部活動の維持が困難になってきています。  また教員にとって、経験のない競技や休日の指導が大きな負担となっていることから、教員の働き方改革も推進されています。  こうした課題を解決するため、 平成30年から国が中心となり部活動の在り方の見直しを議論。令和5年度〜7年度を改革推進期間と定め、段階的に休日の活動を「地域移行」することが求められました。 鶴岡市の取り組み  本市では令和3年度に、中学校校長会や地域のスポーツ・文化団体、PTA連合会などで構成する検討委員会を立ち上げ、令和5年度以降の休日の部活動の地域移行に向けた体制整備を進めました。  検討委員会では移行方法として、@総合型地域スポーツクラブ Aスポーツ少年団 B保護者会クラブ C民間クラブ D種目団体による合同地域活動の5つのパターンを提示。関係団体と何度も協議を重ねながら、令和5年度に、市内の全ての部活動が休日の活動を地域移行しました。これは、県内で本市が初めてです。  また市では、移行先団体への補助のほか、経済的な理由で活動を断念しなければならない生徒が出ないよう、対象家庭に対しクラブ会費や保険等の補助も行うなど、様々な支援を行っています。 持続可能な活動環境を作る  5つのパターンの内、保護者会クラブは、持続性の観点から、令和7年度までにほかの方法に移行することが必要となっています。また、施設の使用や用具の保管・運搬など、まだまだ課題があるのが現状です。  市では、引き続き関係団体等と連携し協議を進めながら、持続可能な環境づくりに取り組んでいきます。 総括コーディネーターに聞きました! 総括コーディネーター 長島?昭則(ながしま・あきのり)?さん  部活動の地域移行を進めるため、市教育委員会の指導主事と連携し、学校や関係団体等との情報共有や連絡調整を行っています。 ー地域移行のメリットと期待することは?  地域クラブに移行すると、生徒が希望するスポーツ・文化活動を地域の中で選択でき、活動したくてもできない生徒をなくすことができます。また、学校の枠を超えて他校の生徒と交流できますし、専門的な知識や技能を備えた指導者から指導を受けることで、生徒の意欲向上も期待できます。  昨年度実施した地域移行に関するアンケートでは、回答した生徒の約87%が「満足・やや満足」と答えています。地域移行の環境整備を進めることによって、更に生徒の満足感が高まるものと考えています。 ー県内で最も地域移行が進んでいる要因は?  国が示した方針を受け、早期に方向性を検討し、学校や保護者、関係団体と丁寧に協議を進め、課題解決に向けた合意形成が図られたことが要因の一つと考えています。また、本市にはスポーツ少年団や金管バンド、ジュニアオーケストラ、児童合唱団など、小学生からスポーツや文化・芸術に親しむことができる環境が以前からあることに加え、地域の指導者による献身的な部活動指導も行われてきました。  そういった土壌が地域移行の普及・促進につながっていると感じています。昔から携わっていただいた関係者の方々には心から感謝しています。 地域のクラブ活動を紹介 鶴岡ATHLETICS CLUB 指導者 本間?和広(ほんま・かずひろ)?さん  「鶴岡ATHLETICS CLUB(以下、鶴岡AC)」の前身は、「鶴岡第三中学校保護者会クラブ」です。その後、専門指導の場を確保するため、有志で団体を発足させ、他校の生徒が入会できるようにしました。部活動の地域移行を見据え、小学生を対象としていた鶴岡持久走クラブに合流し、令和3年度から現在の名称で活動しています。  鶴岡ACは、市内の中学生約45人が、週2回、小真木原陸上競技場で活動しています。小学生コースから継続する子供も多いので、持続可能な体制が築けていると思っています。  指導者は5人で、日本陸上競技連盟公認のコーチ資格を持っている人や、県縦断駅伝のコーチもいます。指導力向上のためにも、日本スプリント学会の講習会に積極的に参加し、最先端の練習方法や最新の情報を学んでいますよ。  これからも、子供たちが楽しく陸上競技ができ、レベルアップできるように、取り組んでいきたいですね。 中学生に聞きました! 地域クラブ活動のいいところ ・専門的な指導を受けることができ、時には社会人チームと一緒に練習できるので、自身のレベルアップにつながる ・以前は頻繁にけがをしていたが、体作りを詳しく教えてもらったおかげで、けがもしなくなり、タイムも上がった ・他校の子と友達になれるし、同じ目標の子やレベルが高い子も多いので、切磋琢磨しながら活動できて楽しい