‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 7 「慢性閉塞性肺疾患」と「前立腺がん」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。7回目となる今回は、呼吸器科と泌尿器科です。  当院では、受診後に会計を待たずに帰ることができるように、医療費後払いシステムを導入しています。スマートフォンへのアプリの導入とクレジットカードの登録で利用が可能です。ご利用の方法等は受付窓口でご相談ください。 ◯問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 呼吸器科 少し動くだけで息切れがします 70代女性です。最近、少し動くだけで息切れしたり、せきが出たりします。友人に「肺の病気じゃない?」と言われましたが、大丈夫でしょうか。  慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、だんだんと呼吸機能が低下していく肺の病気です。  この病気の原因の9割はたばこの煙といわれ、有害物質を長年吸い込むことで、空気の通り道である気管支に炎症が起こり、気管支の壁が厚くなったり、たんが詰まったりします。さらに、肺が破壊されて、肺気腫を起こします。これらの結果、息をうまく吐き出すことができず、だんだんと肺機能が悪化していきます。  また、COPDは肺以外の全身にも炎症を起こし、心筋梗塞などの内臓の病気を合併することもあります。病院では、症状からCOPDを疑い、各種検査で診断していきます。  COPDの第一の治療は禁煙です。また、気管支を広げる薬や、栄養・運動療法を組み合わせた治療も行います。細菌やウイルス感染は、症状の悪化につながりますので、予防接種などの感染対策も大切です。  息切れを来す病気はCOPD以外にもたくさんあります。間質性肺炎や気管支ぜん息などの肺の病気のほか、肺の血管に血栓が詰まる肺血栓塞栓症や心不全、貧血などでも息切れが起こります。症状がある場合は、自己判断せずにかかりつけ医に相談しましょう。 荘内病院の呼吸器科  COPD、気管支ぜん息、肺感染症、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群などの外来診療を行っています。  肺がん治療、入院での詳しい検査や治療を必要とする場合は、日本海総合病院などの近隣の病院に依頼しています。 呼吸器科医師 阿部 恭子 泌尿器科 前立腺がんでしょうか 60代男性です。数日前から、おしっこがスムーズに出なくなりました。前立腺がんではないかと不安です。  前立腺がんは、悪性腫瘍の1つで、前立腺の細胞が異常に増殖することで起こります。多くの場合、ゆっくりと進行するため、早期に発見して適切な治療を行えば、治る可能性があります。  早期の前立腺がんのほとんどに自覚症状はありませんが、まれに尿が出にくい、排尿回数が多くなるなどの症状が出ることもあります。一方で、がんが進行すると、血尿や排尿痛、骨への転移による腰痛などの症状が見られることがあります。  前立腺がんの検査は、最初に採血で特異的な抗原の値を調べ、異常値が出た場合には直腸診を行います。肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認する検査です。  また、画像検査としてMRI検査を行います。がんの有無や広がり、リンパ節転移等が明らかになります。装具等の事情でMRI検査ができない方は、CTで代用する場合もあります。  確定診断は前立腺生検で行います。肛門から超音波を発する器具を挿入し、経直腸エコーによる画像を観察しながら、前立腺に針を刺して複数箇所の組織を採取します。採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を調べます。    荘内病院の泌尿器科  南庄内地域の中核病院として、泌尿器科の開業医と一緒に患者さんの治療を行う地域医療連携を推進しています。急性期は当院で診察し、慢性期は開業医にお願いするといった役割分担を進めながら、今後も地域の医療レベルの維持・向上に努めていきます。 泌尿器科医師 阿部 寛 令和6年9月号 No.318 環境に配慮し植物油インキを使用しています