‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 8 「疲労に効く漢方」と「扁桃炎」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。8回目となる今回は、漢方内科と耳鼻咽喉科です。  当院は、鶴岡市立荘内看護専門学校の実習指定病院とな っており、看護師を目指す看護学生が、日々研さんを積んでいます。同校は、令和7年度に新校舎となり、入学定員を30人に増やし、地域の医療人材の育成を進めます。 ◯問合せ 荘内病院総務課☎26‐5111 漢方内科 疲労感に効く漢方を知りたい 40代の女性です。慢性的な疲労感があり、何事にもやる気が起きません。生理トラブルも続いていますが、何か良い漢方薬はありますか。  漢方では、私たちが元気よく活動するパワーの源を「気」と呼びます。気が不足していると、朝になかなか起きられなかったり、何をするにもやる気が起きなかったり、すぐに疲れてしまったり、生理が止まってしまったりするなど、日常生活に影響を及ぼします。また、消化器の働きが鈍っている人は、食後にけん怠感や眠気が現れます。  けん怠感などの「未病」を改善するのは、漢方薬の得意分野です。このような状態の場合、″補中益気湯(ほちゅうえっきとう)〟という「補剤」が、気などの不足を補って回復につなげるのに最適です。中(胃腸)を補い、体の気を増やすという意味から″補中益気湯〟という名前が付けられています。「人参(にんじん)」をはじめ「蒼朮(そうじゅつ)」「黄耆(おうぎ)」「当帰(とうき)」「陳皮(ちんぴ)」など、10種類の生薬を配合。元気がなく、内臓の働きが弱りがちで、疲れやすい患者さんによく使われます。弱っていた消化吸収の働きを整え、気を補うことができます。 荘内病院の漢方内科  日本東洋医学会漢方専門医が、患者さんの心身が発する症状などから病気の全体像を捉え、新陳代謝と自然治癒力などを用いた身体全体へのアプローチを行います。  冷え性、更年期、不眠症、神経症、自律神経失調、手足のほてり、体力低下、アトピー、ぜん息、肌の荒れ、頭痛、めまい、肩こり、むくみ、腰痛、関節痛、神経痛、頻尿、慢性副鼻腔炎、中耳炎、口内炎、歯周病、機能性胃腸症、肥満、便秘、がん治療の副作用と思われる症状の方、また虚弱児の方などはご相談ください。 漢方内科医師 八木 実 耳鼻咽喉科 慢性扁桃炎の治療は? 8歳になる息子は、数か月に1度扁桃腺(へんとうせん)の腫れと高熱、のどの痛みといった症状を繰り返しています。扁桃腺の手術をした方が良いでしょうか。  扁桃炎(へんとうえん)には急性と慢性の2種類があります。急性扁桃炎の場合は軽症、中等症、重症などの症状の重さによって消炎鎮痛剤や抗生剤の内服、点滴で治療します。慢性扁桃炎には急性扁桃炎を繰り返す病態として習慣性扁桃炎(反復性扁桃炎)があり、その経過についてはウイルス性か細菌性かは問われません。  当科では4歳以上の患者さんに手術を行っています。小児の場合、扁桃肥大を原因として、いびきや呼吸障害があるときは、手術適応としています。扁桃炎については、年3回~4回の扁桃炎を2年~3年継続する病態の場合などを1つの基準として、患者さんの希望も含めて手術を行っています。ただこの基準は絶対的なものではなく、国や地域によって様々ですので、断定的ではありません。  ご相談の息子さんの場合は手術の適応の範囲であると考えられます。しかし、経過観察で年齢とともに扁桃炎回数が減少して、自然に快方に向かう場合もありますので、かかりつけの主治医とよく相談をして決定することが大事です。手術を行う場合は全身麻酔をしますので、入院が必要です。入院期間は通常1週間以内になります。    荘内病院の耳鼻咽喉科  耳、鼻、喉の疾患の診断や治療のほか、新生児の難聴の診断やめまい症、顔面神経まひの診断や治療、耳や鼻、喉の異物の摘出等を行っています。開業医の先生との連携を大事にしながら診療に当たっています。より詳細な検査、治療が必要な場合は、日本海総合病院に依頼する場合もあります。 耳鼻咽喉科医師 五十嵐 敬郎 令和6年11月号 No.320 環境に配慮し植物油インキを使用しています