‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 9 「NICU」と「肩の痛み」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。9回目となる今回は、小児科とペインクリニックです。  当院では1月から救急・集中治療科を設立し、救急・集中治療の患者に対する体制強化を図ります。なお、年末年始は当院を救急で受診される方が多くなります。休日夜間診療所の受診や、救急電話相談(小児は#8000、大人は#7119)の利用など、適正受診にご協力ください。 ◯問合せ 荘内病院総務課☎26‐5111 小児科 NICUって、どんな所? 集中治療室を「ICU」と呼ぶのは知っていますが、頭にNが付いた「NICU」はどのような所ですか?  NICUは、予定日より早く、小さく生まれた赤ちゃんや病気を持って生まれた赤ちゃんを、点滴治療、呼吸管理、手術治療などで集中的に治療する場所です。Nは、「新生児の」を意味するNeonatalの頭文字。つまり、文字通り赤ちゃんの集中治療室です。  荘内病院にはNICUが6床あります。小児科医は8人在籍していて、医師が常駐して治療に当たっています。集中治療を受け状態が安定した赤ちゃんは、GCU(新生児回復室)に移り、引き続きケアを受けて、お家に帰る準備をします。荘内病院にはGCUも6床あって、NICUと合わせ12人の赤ちゃんに対応することができます。  赤ちゃんは大人と違って症状を訴えられませんので、24時間体制で看護師が観察やケアを行い、赤ちゃんにストレスが掛からないよう心身ともに優しく看護しています。また、ご家族が赤ちゃんと一緒の時間を過ごし、赤ちゃんの治療やケアにも参加する「ファミリーセンタードケア(家族中心のケア)」を心掛けています。   荘内病院の小児科  県内には、NICUを持つ病院が4つあります。県立中央病院に9床、山形済生病院に8床、 山形大学医学部附属病院に6床、そして、当院の6床で計29床あります。当院以外は山形市に集中していて、庄内地方は当院の6床でカバーしています。そのため、鶴岡市だけでなく酒田市などからも早産が予想されるお母さん(母体搬送)や緊急的な治療が必要な赤ちゃんが入院してきます。  荘内病院のNICUは、庄内全域の赤ちゃんを守るとりでとして、重要な役割を担っていると言えます。 小児科医師 吉田 宏 ペインクリニック 肩の痛みを和らげる方法は? 50代の男性です。肩に痛みがあり、動かすのがつらいです。痛みを和らげる方法はありますか。  肩の痛みは、日常生活に支障を来し、多くの人を悩ませています。五十肩や腱(けん)板損傷といった病気だけでなく、姿勢の悪さやストレスなど、原因は様々です。中には、整形外科での手術が必要なケースもあります。しかし、全ての肩の痛みが手術を必要とするわけではありません。痛み止めや神経ブロック、リハビリテーションなどの治療で改善できるケースも多くあります。  麻酔科にあるペインクリニックでは、〝痛み〟そのものを専門に治療します。痛みで悩んでいる全ての人に対し、薬物療法、神経ブロック、リハビリテーションといった多様な治療法を組み合わせて痛みを和らげ、快適な生活を取り戻せるようサポ ートします。  薬物療法では、痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで、痛みを軽減します。神経ブロックは、痛みを伝えている神経に麻酔薬やステロイドなどの薬剤を直接注射して痛みを和らげる治療法で、薬物療法や物理療法などの治療法と併用することで、より効果的に痛みをコントロールできます。ほかにも神経の痛みを抑える抗うつ薬や抗てんかん薬、筋肉の緊張を和らげる筋肉弛緩剤など、患者さんの症状に合わせて最適な薬を選びます。これらの治療法を患者さんの状態に合わせて組み合わせることで、痛みを効果的にコントロールし、日常生活の質の向上を目指します。    荘内病院のペインクリニック  痛みの原因は様々であり、専門的な治療が必要な場合が多いため、痛みの部位や原因の専門科と連携して治療を行っています。まずは、当院の各専門の先生にご相談ください。痛みを和らげる治療が適当と判断されれば、ペインクリニックにご紹介いただいています。 ペインクリニック医師 栗原 二葉 令和7年1月号 No.322 環境に配慮し植物油インキを使用しています