‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol.10 「遠隔アシスト手術」と「緩和ケア」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な 診療科の医師がお答えします。10回目となる今回は、外科と緩和ケア内科です。  当院では、令和6年11月からがん予防の啓発を目的とする取り組みに賛同し、夜間(午後5時~9時)にがんのシンボルカラーのライトアップを行っています。3月は大腸がんのシンボルカラーであるダークブルーのライトアップを行います。この機会に、ご自身の健康維持やがん予防について考えてみませんか。 ◯問合せ 荘内病院総務課☎26‐5111 外科 遠隔アシスト手術とは? 国立がん研究センター東病院と連携して行っている「遠隔アシスト手術」について詳しく教えてください。  遠隔アシスト手術とは、専用の高速通信システムを用いて、荘内病院と千葉県の国立がん研究センター東病院(以下、がんセンター)が手術映像をリアルタイムで共有し、がんセンターの先生から口頭やモニター上の図示によるアシスト(遠隔支援)を受けながら行う手術です。がんセンター流の手術を鶴岡にいながら受けることができるため、手術の精度がより高くなることが期待されています。  一般病院の試みとしては荘内病院が『世界初』で、全国学会等でも大変高い評価を受けています。また、当院で研修している若手の外科医にとっても、鶴岡にいながらがんセンターの手術も学ぶことができるため、これを目当てに研修を希望する若手外科医が当院に集うことも期待されます。  現在、当科では早期大腸がんを中心に、がんセンターの先生とも相談しながら遠隔アシスト手術の適応を決めています。全ての大腸がん手術に遠隔アシスト手術を行っているものではありませんが、遠隔アシスト手術をご希望される場合は、主治医の先生に当院外科への紹介を相談されるか、直接当院までご連絡ください。   荘内病院の外科  外科では、お腹の手術を中心とした治療を行っています。がん等の予定された手術だけではなく、外傷や腹膜炎などの緊急手術にも対応しています。これからも患者さんが安心して治療が受けられるよう、最新の治療法と質の高い医療の提供に努めていきます。 外科医師 坂本 薫 緩和ケア内科 緩和ケアって何をするの? 家族が抗がん剤治療を受けていて、たまに痛むようで心配です。緩和ケアについて教えてください。  緩和ケアは、がん等の病気を持つ患者さんとそのご家族が抱える、様々な苦痛やつらさを和らげるための医療やケアのことです。生活の質を改善し、病気とうまく付き合えるよう支援します。痛みや息苦しさ、不眠などの苦痛を和らげる治療をはじめ、不安や気掛かりについて、それぞれに合った対処法を考えます。このほか、療養・介護についての相談にも応じます。診断後から病気の時期や治療内容にかかわらず、病院や地域の多職種が協力して対応します。がん以外にも、心不全や肺疾患、 神経難病などの慢性疾患も緩和ケアの対象です。  療養の過程では、患者さんが大切にしたいことを実現できるように、ご家族を含めて話し合います。「できるだけ痛みや苦しさがないようにしてほしい」「なるべく仕事や趣味を続けたい」「ペットと一緒に庭を眺めて過ごしたい」等、患者さんの意向を尊重できるよう一緒に考えます。まずは主治医や身近な医療介護職に相談しましょう。  そして、より元気なときから自分のもしものときを想像し、「大切にしたいこと」を家族等や身近な医療者と話し合い伝え合う「人生会議」も、自分と身近な人の生き方を大切にすることにつながるかもしれません。    荘内病院の緩和ケア内科  主治医から紹介を受けた外来・入院患者さんの緩和治療をはじめ、様々な相談に応じます。がんや慢性疾患による症状のほか、がん治療後の後遺症で受診する方もいます。緩和ケア認定看護師が各科医師とも協働し、患者さんとご家族の相談役として活動しています。 緩和ケア内科医師 和泉 典子 令和7年3月号 No.324 環境に配慮し植物油インキを使用しています