特 集 藤沢周平記念館 開館15周年 問合せ 藤沢周平記念館☎29‐1880 「海坂藩」の風薫る藤沢周平氏のふるさとで作品に親しむ  日本を代表する時代小説家 藤沢周平氏。藤沢氏のお人柄に触れ、作品を豊かに味わえる拠点施設である藤沢周平記念館は、今年の4月29日で開館15周年を迎えます。  藤沢氏が小説に著す北国の小藩「海坂(うなさか)藩」は、江戸時代の庄内地方がモデルといわれ、作品の中にこの地方の自然・歴史・文化・食などを垣間見ることができます。  そういった作品の原風景を求め鶴岡を訪れてくださる方も多く、記念館は開館以来38 万人を超えるお客様を全国からお迎えしています。  記念館では、自筆原稿や愛用品等の貴重な資料とともに多様な作品世界と藤沢氏の生涯を紹介。また、特定の作品やテーマに焦点を当てた企画展や講演会、朗読会を開催しています。近年は、作品を身近に感じられる機会として、文学散歩や原作ドラマ上映会なども実施しています。  庄内藩の歴史が薫る鶴岡公園に建つ記念館で藤沢作品に触れた後、周辺を散策して「海坂藩」の風を感じてみてはいかがでしょうか。皆様のご来館をお待ちしています。 ©文藝春秋 藤沢 周平 氏 本名、小菅留治。昭和2年(1927)、黄金村大字高坂(現鶴岡市高坂)生まれ。昭和46年に『溟(くら)い海』でオール讀物新人賞、昭和48年に『暗殺の年輪』で直木賞を受賞。『蟬しぐれ』『用心棒日月抄』『三屋清左衛門残日録』『風の果て』『たそがれ清兵衛』『橋ものがたり』『海鳴り』『白き瓶』等数多くの作品を執筆。吉川英治文学賞、菊池寛賞などを受賞。平成7年紫綬褒章受章。平成9年逝去。同年山形県が県民栄誉賞を贈呈、鶴岡市が特別顕彰として顕彰。 ▲常設展示 自筆原稿や創作資料、愛用品等を展示しながら、作品や生涯を3部構成で紹介。また、執筆活動の場であった東京の自宅書斎を移築・再現 ▲企画展 藤沢氏や作品を深く知っていただくため、年2回程度、テーマを決め開催(写真は令和6年度の第22回企画展〈『龍を見た男』の世界〉)  藤沢周平記念館監修者 遠藤展子(えんどう・のぶこ) 氏 (藤沢周平氏長女) 藤沢周平記念館十五周年  藤沢周平記念館ができてから、監修者をしている夫と鶴岡へ行く機会が格段に増えました。空港を降りると、庄内の澄んだ空気とすばらしい景色に「庄内に戻ってきました!」という気分になります。  15年の間に様々な変化はありましたが、変わらず記念館運営ができているのは、やはり市長はじめ、関わってくださっている方々がいつも気にかけてくださるおかげと感謝しています。  15年がたち、これからの目標は藤沢周平記念館が今まで以上に鶴岡の市民の方々に喜んでいただける場になることです。市民の皆様のご理解の上で成り立っている記念館なので、より多くの方に足を運んでいただければと思います。鶴岡を愛して、鶴岡のこと、庄内のことを描いた小説やエッセイを数多く残した父ですので、市民の皆様にも記念館を通じて、藤沢周平のことを知っていただければうれしく思います。案外、作品の中にご近所が出てきたりするかもしれません。  これからも藤沢周平記念館をどうぞよろしくお願い申し上げます。 近年の主な事業 朗読会 藤沢作品ゆかりの方を招いて開催。令和5年度は俳優の篠田三郎氏が『暗殺の年輪』を朗読 直木賞受賞50年記念の講演会(令和5年10月22日) 直木賞選考会の司会を務めた経験もある、㈱文藝春秋第二文藝部部長の川田未穂氏による講演会を開催 文学散歩 令和6年度は、企画展〈『龍を見た男』の世界〉をより深く味わうため、作品の舞台である龍澤山善寳寺等を巡った 藤沢周平原作ドラマ上映会 時代劇専門チャンネルの協力で、北大路欣也主演の大人気シリーズ『三屋清左衛門残日録』等のオリジナル時代劇を館内で上映 館外展示 各地域の施設を会場に、藤沢氏の作品やエッセイに登場する庄内の食を紹介したパネルを展示 作品題名書道展 鶴岡中央高校書道部の生徒が、藤沢作品を読み、感じたままに題名を書道で表現 部員は9人。表紙を飾ってくれた3人に感想を聞きました。 ・ふだんは読まないジャンルで、文章がとても新鮮でした。 ・女性の感情が繊細で複雑に感じました。 ・登場人物の人間関係が面白かったです。 奥から、菅原彩華(あやか)さん、五十嵐歩夏(あゆか)さん、部長の伊藤樺乃(かの)さん 15周年を記念した企画 記念企画展〈『喜多川歌麿女絵草紙』の世界-歌麿と蔦重-〉 美人絵で有名な喜多川歌麿を主人公に、歌麿が心ひかれ描く女たちとの物語や絵師としての葛藤が描 かれた『喜多川歌麿女絵草紙』。大河ドラマで注目の蔦屋重三郎や曲亭馬琴、東洲斎写楽も登場する作品の魅力を紹介します。 ■期間 9月23日火曜日まで 記念企画展〈『たそがれ清兵衛』の世界〉(仮称) 映画『たそがれ清兵衛』の原作になった表題作など8作品を紹介。周囲に渾名され軽んじられる男たちが、藩の派閥抗争や家族の危難に立ち向かう姿が描かれています。 ■期間 9月26日金曜日~来年5月26日火曜日 開館記念日無料開館 開館15周年を記念し、藤沢周平記念館が開館した日である4月29日は無料で開館します