荘内病院の医師が疑問を解決! 連載 広報つるおかの医療相談 vol.12「リンパ浮腫外来」と「形成外科」 この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。12回目となる今回は、リンパ浮腫外来と形成外科です。 当院では、令和7年6月に、国立がん研究センター東病院の専門医にオンラインで相談できる、「おんらいん?がん相談」を開始しました。当院の緩和ケア認定看護師も同席してサポートしますので、安心してご利用できます。費用・予約方法等については、荘内病院地域医療連携室?26‐5155にお問い合わせください。 問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 リンパ浮腫外来 脚のむくみが気になる 高齢の父が、脚のむくみを気にしています。原因は何でしょうか。効果的な治療方法があれば教えてください。 リンパ浮腫(ふしゅ)は、腕や手、特に脚にリンパ液がたまり浮腫(むくみ)が生じる病態です。主な病態は、リンパ液を集めて心臓近くまで流すリンパ管などのリンパ流路の障害です。まれに先天的なリンパ管の異常(原発性リンパ浮腫)によるものもあります。リンパ液が長年たまることで皮膚が硬くなるのが特徴で、皮膚の炎症も起こりやすくなります。 原因は、乳がん・婦人科がん・大腸がん・泌尿器系がん等の手術をする際に、がんが転移するおそれがあるリンパ節を切除するリンパ節郭清(かくせい)や、がんの転移、がん治療薬、放射線治療の副作用などです。 最近は、脚にむくみが生じる下肢浮腫が、高齢者に増えています。この浮腫の多くは、リンパ浮腫と静脈性浮腫の混合性浮腫で、別名廃用性浮腫≠ニいわれています。あまり歩かなくなることによるポンプ作用の低下や加齢によるリンパ管機能の低下が要因と思われます。 治療は、基本的に圧迫療法、手で行うリンパマッサージ、スキンケア(複合的理学療法)などです。圧迫療法では、弾性着衣、弾性包帯が用いられます。利尿剤の内服は効果が少ないといわれています。   荘内病院のリンパ浮腫外来 リンパ浮腫は比較的診断は容易で、治療法も定まっています。しかし、全国的に専門外来は多くなく、ほとんどが自由診療ですが、当院のリンパ浮腫外来は保険診療で受診できます。原則、毎月第2・第4木曜日に、診察と複合的理学療法の指導を行っています。 リンパ浮腫外来医師 蘆野 吉和 形成外科 形成外科と美容外科の違いは? どちらも外見を変えるイメージがありますが、治療分野や保険適用の有無に違いはありますか。 形成外科とは、身体の外見や機能を回復・改善することを目的とした外科の一分野です。生まれつきの異常やけが、病気、手術などによって生じた体の変形や欠損に対して、見た目と機能の両方を可能な限り自然に近づけるように治療を行います。  治療の対象となる代表的な疾患には、口唇口蓋裂、合指症、多指症などの先天性疾患、顔面の骨折や、やけどなどの外傷、傷跡やケロイドの治療などがあります。美容外科と混同されることも多いですが、目的と保険適用が異なります。形成外科の目的は、見た目や機能の改善で、保険が適用されることが多いです。 一方、美容外科はより美しくなりたいという患者の希望に応じ、審美的な改善を行うことが目的のため、原則、自由診療です。同じ治療でも保険適用となる場合とそうでない場合があります。例えば、一重まぶたを二重まぶたにする場合だと通常は保険適用となりません。しかし、一重まぶたでも逆さまつげで目を傷つけてしまうようなケースでは、二重まぶたにする治療も保険適用となります。このように、形成外科と美容外科は切り離せない関係性にあります。    荘内病院の形成外科 当院では、2人の非常勤医で外来診療を行っています。診療日は原則火曜日と金曜日です。できる限り受診当日に治療を行えるように工夫しながら診療を行っています。しみのレーザー治療などの美容治療(自由診療)にも対応しています。困りごとがありましたら、気軽にご相談ください。 形成外科医師 工藤 勝秀