高校生の視点を大切にして 藤島地域の魅力を伝える! 人の情景(ひとのじょうけい) scene20 伊藤那奈 Ito Nana ふじしま観光協会のメンバーに高校生が初めて加わったのは今年4月。藤島地域で生まれ育った伊藤那奈さん、庄内農業高校(以下、庄農)の3年生です。学校生活では、生徒会役員や農業部の部長を務める傍ら、同協会の理事としても活躍しています。 以前から、同協会では地元の高校生のフレッシュな意見を取り入れるために、一緒に活動してくれる庄農生を探していました。それを学校の先生から聞いた那奈さんはすぐに「やりたい!」と手を挙げました。 「公務員を目指している私に先生がこの活動を勧めてくれたんです。卒業後は行政職員として農業や地域活性化に貢献したいと考えているので、観光協会の一員としての活動は、社会経験を積む絶好の機会になると思いました」。  那奈さんは主に、藤島地域で開催されるイベントの情報発信や、ホームページのリニューアルに関する作業を担当しています。特に力を入れているのが、インスタグラムを活用した魅力発信。毎年8月に開催されているふじしま夏まつりや、庄農生による地産地消企画「庄農うどん大作戦!」などを広く周知するため、写真や動画を投稿しています。高校生ならではの視点や感性が発揮された投稿は同協会メンバーやフォロワーから好評で、大きなやりがいになっています。 「毎年訪れているふじしま夏まつりに、今年は観光協会の一員として参加し、当日の様子を撮ってインスタグラムのストーリーに投稿しました。スタッフ用のTシャツを着ていたこともあり、地元の人たちから『そんなことやってんな、すんげの』などとたくさん声を掛けてもらえたのがうれしかったです。自分はすごいことをしてる、頑張ってる!と思えて、自信にもなりました」。 客として行く夏まつりとは違った景色を見ることができた那奈さん。 それを機に、当たり前だと思っていた藤島の誇れる魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いが芽生えました。 「藤島をはじめ、鶴岡市が市民にとって暮らしやすいと思えるまちになったら良いし、みんながまちの魅力を発信できたら、楽しくなるんじゃないかと思うんです」。 那奈さんの目標は、全国の人に「山形県と言えば鶴岡市」と言われるほど知名度をアップさせること。藤島にとどまらず、庄内地方全体の魅力度向上に貢献したいと意気込みます。 「将来は、利益よりも人々の幸せを創れる人になりたいです」。 目指す人物像を目を輝かせながら語る、そんな那奈さんの可能性は無限大です。 ふじしま観光協会の理事として、毎月会議に参加。学校生活と両立する那奈さんのことを第一に考え、庄農の校舎に集まって会議を開くこともあるそう。 ふじしま夏まつりでは、現地の様子をインスタグラムで発信! 稲作の授業では、実際に農業機械を操縦して田植えをするなど苗づくりから収穫までを実践的に学んでいる。「ほ場での実習が充実している」と楽しそうに話す。 伊藤那奈(いとう・なな) さん(18) 藤島地域出身。庄内農業高校食料生産科の3年生。幼少期に兼業農家の祖父の手伝いをしていた経験から農業に関心を持ち、同校に入学。科目選択では作物と果樹の授業を専攻し、稲作をはじめ、リンゴやブドウ、柿などの栽培について学んでいる。趣味は動画制作と歌を歌うこと。