荘内病院の医師が疑問を解決! 連載 広報つるおかの医療相談 vol.13 「小児外来」と「おんらいんがん相談」 この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。13回目となる今回は、小児外科とおんらいんがん相談です。 年末年始は長期休暇に伴い、例年当院を救急で受診される方が多くなります。症状が重くない方で救急受診を希望される方は、鶴岡市休日夜間診療所?23-5678の受診や、山形県救急電話相談(小児は#8000、大人は#7119)の利用など、適正受診にご協力をお願いします。 問合せ 荘内病院総務課?26-5111 小児外科 小児の鼠径ヘルニア(脱腸)について 1歳になる我が子が鼠径(そけい)ヘルニアを患っています。自然に治るものかどうか教えてください。 小腸や卵巣などの臓器がお腹にできた袋状の腹膜鞘(しょう)状突起に飛び出して、鼠径部(足の付け根あたり)が腫れてくる病気を「鼠径ヘルニア」といいます。 子供100人の内、2人〜5人の割合でこの症状が出るといわれ、小児の外科手術では1番多い病気です。片側だけでなく左右両側に出現することもあります。発生する性差に大きな偏りはなく、乳児期に見つかることが多いですが、中には活発に体を動かすようになる小学生以降に発症することもあります。 鼠経ヘルニアでは、飛び出した臓器が締め付けられ、臓器の血流が悪くなります。この状態で臓器が戻らなくなることを「ヘルニア嵌頓(かんとん)」といい、緊急対応が必要となります。1歳未満は自然に治ることもありますが、当院では生後6か月を超えても治らない場合は、生後8か月以降に手術を行うことにしています。 手術では、ヘルニアの原因となっている腹膜鞘状突起を縛り臓器が脱出しないようにします。術後に反対側もヘルニアになる確率は10%程度といわれていますが、腹腔鏡手術で両側のヘルニアを確認することで、同時に手術治療することが多くなっています。小児の鼠径ヘルニア手術は、大人の手術とは異なり、手術手技等が難しい手術です。小児外科専門医の常勤する施設での治療を強くお勧めします。   荘内病院の小児外科 当院には、庄内地方で唯一の「小児外科専門医・指導医」が常勤しており、以前から積極的に腹腔鏡鼠経ヘルニア手術を行っています。ご不安な点があれば、お気軽に相談ください。 小児外科医師 大滝 雅博 特別編 「おんらいんがん相談」を開設 がんのことで疑問に感じていることやモヤモヤしていることがある方は、ぜひ活用してみてください。 鶴岡市の皆様こんにちは。国立がん研究センター東病院医師の全田貞幹です。同院は、荘内病院と連携して5年目を迎え、月に1回のがん相談外来や遠隔アシスト手術を行っています。 当初、がん相談外来では、手術の説明同意支援をはじめ、抗がん剤治療に伴う副作用の疑問解消などといった基本的な内容を相談する患者さんが多かったのですが、最近は、遺伝子パネル検査や治験等、より専門的な質問・相談をされる患者さんも増えてきたと感じています。 単にがんの専門家というのではなく、そのがん腫の専門家に話を聞きたいという要望も強く、6月に「おんらいんがん相談」を開設しました。 「おんらいんがん相談」は、荘内病院の診察室にいる患者さんと国立がん研究センター東病院の医師をウェブ上でつなぎ、面談することができるシステムです。鶴岡市にいながら、各領域のオピニオンリーダーがそろう国立がん研究センター東病院の意見を聞くことができるという画期的なもので、通常のがん相談外来よりも専門的な話を聞くことができます。 さらに、面談は「D(医師)to P (患者)with N(看護師)」という看護師も同席する新しいスタイルを導入しています。内容が専門的で難しい場合でも、看護師に聞きながら進めることができますし、荘内病院側にも面談の内容を共有することができるので、大変有効です。 おんらいんがん相談は有料です(30分3万3,000円)。相談を希望する方は、荘内病院地域医療連携室?26-5155にお問い合わせください。 荘内病院がん相談外来担当 国立がん研究センター 東病院医師 全田 貞幹