−連載− 広報つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol.15 「無症候性心不全」と「顎変形症」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師・看護師がお答えします。15回目となる今回は、無症候性心不全と顎がく変形症を取り上げます。  当院では、インスタグラムやフェイスブックを通して病院の取り組みや職員の仕事などを紹介しています。ほかにも、病院まつりや各種講演会などのイベント情報も発信していますので、 ぜひチェックしてみてください。 問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 循環器科 血中BNPの数値が高いと診断された 健康診断で「血中BNPの数値が軽度高値」と診断されました。この数値は、どのような病気に関わりがありますか。  血中BNPやNT‐prоBNPは、心臓に負担が掛かったときに数値が上昇するホルモンで、心不全の早期発見につながる重要な指標です。近年は、高齢化に伴って心不全の患者が急増していて、「心不全パンデミック」と呼ばれています。心不全は一度発症すると入退院を繰り返すことになり、生活や寿命にも影響しますが、早期発見と適切な治療によって進行を抑えることができます。  2023年の日本心不全学会の発表では、専門医への紹介や精密検査が必要な目安となる基準値が改訂され、「前心不全」の段階が新たに位置付けられました。このように、軽度高値でも将来的に心不全のリスクを高めるおそれがあることから、早期評価がより重視されています。 荘内病院の心不全外来  当院は2025年度に「無症候性心不全外来」を開設しました。健診などで高値を指摘された方を対象に、心電図や心エコー検査、CT、心肺運動負荷試験などを行い、症状が出る前の段階から心不全リスクを評価しています。  また、循環器内科医に加え、看護師や薬剤師、理学療法士、管理栄養士、心不全療養指導士など多職種で心不全チームを構成し、診療を行っています。食事・運動・服薬管理など、患者さん一人ひとりに合わせた生活支援や再発予防にも力を入れています。 「症状がない今」だからこそ、早目の確認が大切です。高値を指摘された方は、当院地域医療連携室?26‐5155にぜひ一度ご相談ください。 循環器科医師 長島義宜 歯科口腔外科 「顎変形症」ってどんな病気? 小学3年生の長男が、学校の健康診断で「顎変形症の疑いがある」と診断されました。どのような病気でしょうか。  顎変形症は、顎が変形し、かみ合わせに異常を来した状態です。顎の骨は歯が生えている基礎の部分であるとともに顔の輪郭の元にもなるため、顎変形症は、かみ合わせのズレ以外に容姿・顔貌の不調和も引き起こします。  例えば、下顎前突症では下顎が前に出て反対??合になり、下顎後退症では顎先が後退して顎がないように見え、上顎前突症・上下顎前突症では前歯が突出して口元が閉じづらくなります。また、開??症では臼歯部だけかめて、前歯がかめず口元が開いた状態になり、顔面非対称では顔が曲がっていて片側しかかめない状態になります。  機能的には、かむ能力や発音などに悪影響が出て、虫歯や歯周病につながるリスクも高くなります。容姿・顔貌に対してコンプレックスを抱く症例も少なくありません。  治療は、顎矯正手術を併用した「外科的矯正治療」を行い、かみ合わせと顔貌を改善します。治療の流れとしては、まず矯正専門医と口腔外科医で治療方針を立て、おやしらずなどの抜歯を行って術前矯正治療を行います。その後、顎矯正手術を行い、最後に術後矯正治療を行います。 荘内病院の歯科口腔外科  当科では顎変形症を専門とする口腔外科専門医が手術を行っていて、入院期間は通常10日?12日です。自立支援指定医療機関(育成医療・更生医療)に指定されている矯正歯科医院で術前・術後矯正治療を行った場合は保険適応になりますので、矯正専門医または当院歯科口腔外科宛の紹介状をもらって、受診してください。 歯科口腔外科医師 本間克彦 令和8年8月号 No.341 環境に配慮し植物油インキを使用しています