特集 酒井家庄内入部400年 ◆問合せ 本所政策企画課☎35‐1184 徳川四天王の筆頭、酒井忠次公を祖とする旧庄内藩主酒井家。元和8年(1622)に酒井家3代忠勝公が入部してから、今年で400年を迎えました。この大きな節目を契機に、市では記念事業実行委員会を立ち上げ、酒井家の400年の歩みに重なる庄内の歴史と文化を学び、郷土への愛着と誇りを高めながら、多くの方にその魅力を知ってもらう取り組みを行っています。 鶴ヶ岡城があった鶴岡公園。日本さくら名所100選に選ばれている同公園では、記念事業で桜のライトアップを行いました 酒井家と庄内  江戸時代、大名たちは幕府の命令により、「改易」(領地没収)されたり、別の領地へと「転封」されたりすることが度々ありました。  江戸時代初期の庄内は、山形藩を治めていた最上氏の支配下にありましたが、元和8年に最上氏は改易さ れ、信州松代から酒井忠勝が入部してきました。以後約250年間、酒井家が庄内を治めることになりました。 酒井家の家紋の由来  酒井家初代忠次は、徳川家康の信頼も厚く、家康にとって第一の功臣だったといわれています。  徳川家の三つ葉葵の紋は元々は酒井家の紋で、戦国時代、松平家(後の徳川家)に酒井家が献上し、代わりに松平家から「丸に酢漿草(かたばみ)」の紋を賜ったともいわれています。 今につながる「藩校致道館」の教育方針  酒井忠勝が入部してから150年が過ぎた頃、藩内では太平に慣れた藩士たちの風紀が乱れていました。それを憂いた9代忠徳(ただあり)は、藩政を担う人材を育成しようと、文化2年(1805)に「藩校致道館」を創設。  「個性伸長」「自学自習」を重視し、その成果を討論し深め合う「会業(かいぎょう)」が行われました。致道館に始まる教学の風は現在も受け継がれています。 江戸時代の致道館が描かれている「庄内藩校致道館図」 「三方領知替え」への反対運動  入部以降の江戸時代に、庄内を治める酒井家に対し転封の命令がなかったわけではありません。それは、天保11 年(1840)の庄内藩酒井家、長岡藩牧野家、川越藩松平家に下された、いわゆる三方領知替えという幕命です。  しかし、庄内藩の領民がこれを阻止しようと大規模な反対運動を展開。結果、翌年幕命が撤回されるという全国的に有名な事件に発展しました。 明治期以降の酒井家  明治以降は、多くの旧藩主家が領地を離れましたが、酒井家はそのまま鶴岡にとどまり、地域の発展に貢献。鶴岡は、今も旧藩主家が暮らすまちとして全国的にも希少な地域であり、この地の歴史と文化は、酒井家の歩みに重なります。 400年つないできて、そして次代へつなぐ 18代当主 酒井 忠久(さかい ただひさ) さん 公益財団法人致道博物館代表理事・館長。松ヶ岡開墾場第4代総長。公益財団法人日本美術刀剣保存協会会長。記念事業実行 委員会顧問。 400年培ってきた先人に感謝   入部400年は、父(17 代当主忠明)がとても楽しみにしていました。その思いも含め、私が引き継ぐことになって400年を迎えられたことを非常に光栄に思うと同時に、時代を紡いでくれた先人たちには本当に感謝しています。  鶴岡は地域一体となって発展してきたまちであり、40 0年を迎えることができたのは、皆様と共に歩んでこられたからです。将来の更なる発展を願いながら、今後も貢献できればと考えています。 今年は将来に夢をはせる年に   先日、記念事業の開始式が行われましたが、今年はこの地の歴史と文化をテーマとした取り組みが開催されます。ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと思っていますし、時代を振り返りながら、将来に夢をはせる、そういう形になれたらうれしいです。 次代を担う若い世代へ   将来を担う子供たちには、できるだけ何にでも興味を持ってもらいたいですね。興味を持つことで視野が広がる。例えば、歴史。歴史を振り返ることで、将来どうすれば良いかを考えることができると思うんです。私は、最上のものは常に将来にあると考えていて、より理想的な庄内・鶴岡を実現できるよう、若い皆さんには本当に期待しています。 酒井家と庄内藩の歩み 元和8年(1622) 酒井忠勝が信州松代から庄内に入部 元和9年(1623) 鶴岡の町割りを始める 寛延2年(1749) 7代忠寄(ただより)が老中を命ぜられる 文化2年(1805) 藩校致道館が開校 天保11 年(1840) 幕府から庄内藩、長岡藩、川越藩が三方領知替えを命ぜられ、庄内領民が大規模な反対運動を起こす 天保12 年(1841) 転封中止 慶応3年(1867) 幕命により、庄内藩兵が江戸薩摩藩邸を襲撃 明治元年(1868) 戊辰戦争、庄内藩が政府軍に降伏謝罪 明治3年(1870) 忠篤(ただずみ)、黒田清隆等の尽力により、藩士と共に薩摩に留学 明治4年(1871) 廃藩置県、大泉県となる(後に酒田県) 明治5年(1872) 羽黒後田山を開墾、11代忠発ただあき()が松ヶ岡と命名 大正10 年(1921) 酒井忠勝入国三百年記念祭が行われる 薩摩留学の庄内士族 三百年記念祭で上演されたマツカセロ 酒井忠勝肖像(致道博物館蔵) 本丸御殿に続く中の門 領知替えへの反対運動を描いた図(致道博物館蔵) 400年から学ぶ庄内 SHONAI みんなでつなごう将来 SHORAI 学びを深めた令和3年度  入部400年の前年である令和3年度は、出羽三山丑歳御縁年や松ヶ岡開墾150年と連携して、庄内地域の歴史や文化の学びを深めるプレ記念事業を実施しました。  10月31 日に開催した東京大学史料編纂(さん)所教授の本郷和人氏による歴史講演会では、初代忠次をはじめ酒井家が果たした役割などを解説していただきました。パネルディスカッションや荘内藩甲冑研究会・酒田舞娘の演舞もあり、庄内の歴史・文化を再確認できる機会となりました。  次代への継承をテーマとして、小学生には、松ヶ岡や湯殿山を取材する「子ども記者プロジェクト」を実施。その成果である記事は、地元新聞に掲載されました。中学生には、地域学習の促進を目的とした出前講座を行い、高校生には、致道博物館 での豊富な歴史資料に触れる古文書研究体験や、アフロりゅうじ氏との動画制作体験を開催しました。これらの若い世代を対象とした取り組みについて、令和4年度は内容を充実させて実施します。 令和4年、次代へつなぐ  本番の年を迎えて、4月14 日から、致道博物館や本間美術館(酒田市)など庄内2市3町のミュージアムでの記念展示をめぐるスタンプラリーがスタートしました。  初夏には「庄内の歴史ハンドブック」を発行。昨年高校生が編集に参加した小冊子が、庄内地域の小・中学生に地域学習の教材としてデジタル頒布されます。また、酒田まつりとの交流、首都圏では食文化創造都市推進協議会との共同プロモーションや、庄内の歴史を知るシンポジウムなども予定しています。  酒井忠勝が入部したとされる10 月には、8日に記念式典を行い、翌9 日は荘内大祭が行われ、この2日間、庄内の食などを楽しめるイベントを鶴岡青年会議所と共同開催します。  このほか、市では、昨年発見された馬出(うまだし)遺構の一部と考えられる石積みの活用検討や、鶴岡公園正面広場の整備も進めます。  多くの方に庄内の歴史・文化の理解、郷土への愛着と誇りを深めてもらえるよう事業を展開していきます。 高校生の皆さん!一緒に入部400年を盛り上げてみませんか! □高校生学芸員体験 開催日/5月下旬~10月(月1回程度)      場所/致道博物館 定員/20人程度 内容/ 古文書等に触れる体験や展示製作 講師/菅原義勝氏、佐藤淳氏(同館学芸員) 申込み/5月15日(日)まで同館☎22‐1199へ その他/ 製作した展示は同館記念特別展の第4 部「藩祖 酒井忠勝」に合わせて公開 □動画制作ワークショップ ~ Afro Movie Camp (アフロムービーキャンプ)~ 開催日/6月11日(土)・12日(日)      場所/市役所本所別棟2号館 講師/アフロりゅうじ氏(ユーチューバー) 申込み/ 6月9日(木)まで合同会社dano (難波) ☎080‐1657‐2579へ 新しい鶴岡を知る 貴重な機会になりました 鶴岡南高校3年 五十嵐 健太 さん  昔を生きた当時の人々が記した事実を、自分の目で見て、触れてみたいと思い、昨年、古文書体験に参加しました。  自分では知っていると思っていたことも、実際の古文書を見ると、鶴岡の知らない部分やリアルな部分への新たな気付きがありました。 参加をお待ちしています! ユーチューバー アフロりゅうじ さん(朝日地域出身)  いつももっけだの!アフロりゅうじです!  動画制作ワークショップ「Afro Movie Camp(略してAMC)」では、発信者として、動画制作者として、自分が作りたい!と思ったものをカタチにする方法を一緒に学びます。  この酒井家庄内入部400年を全国、そして全世界に伝える第一歩を一緒に踏み出しましょう! 主な記念事業 ―庄内地域の歴史と文化を未来へつなぐ 庄内地域の歴史と文化の理解促進、次代への継承、郷土への誇りと愛着を高めるため、庄内を次の100年につなげる記念事業を行います。 10月イベント  酒井家庄内入部400年記念式典 開催日/10月8日(土)  場所/荘銀タクト鶴岡 内容/記念式典、基調講演・シンポジウムなど 荘内400年にぎわい市(仮称) 開催日/10月8日(土)・9日(日)  場所/鶴岡公園 内容/庄内の食・土産品販売、ステージイベント等 次代への継承 「庄内の歴史ハンドブック」のデジタル発行 小・中学生向けに小冊子を発行・配布 子ども記者プロジェクト 夏と秋に各1回開催 高校生学芸員体験・動画制作 詳細は4ページ下部に記載 歴史と文化の学び 庄内地域ミュージアムスタンプラリー 開催日/11月30日(水)まで  歴史講座(全4回) 開催日/ 5月7日(土)、9月3日(土)、10月22 日(土)、11月5日(土)  内容/致道博物館などの企画展と連動した講座 鶴岡公園からの歴史の案内 致道博物館 案内コーナー開設  来館者に庄内の歴史と文化のPRを図るため、周辺案内パネルや学芸員解説動画を公開しています。 みんなでつなごう □致道博物館 記念特別展〈12月25日(日)まで〉 問合せ/同館☎22‐1199 □宝生流能楽公演〈6月14日(火)〉 能楽体験・鑑賞能〈15日(水)〉 場所/荘銀タクト鶴岡  問合せ/庄内能楽館鶴岡教室☎23‐3136 □荘内大祭〈10月9日(日)〉 場所/鶴岡公園とその周辺  問合せ/同祭実行委員会(荘内神社)☎22‐8100 □鶴岡シルク特別企画展(仮称)〈10月中旬~11月上旬〉 場所/鶴岡アートフォーラム  問合せ/本所商工課☎35‐1299 □酒井家ゆかりのまちなかめぐり〈10月頃〉 場所/鶴岡公園周辺等  問合せ/鶴岡商工会議所☎24‐7711 □あつみ温泉「殿様のバラ」イベント(仮称)〈9月中旬〉 場所/あつみ温泉地内  問合せ/温海庁舎産業建設課☎43‐4617 みんなでつなぐ活動支援事業(グループ活動部門・集客イベント部門)募集 記念事業を企画・運営する活動を支援します。 対象事業/ 酒井家庄内入部400年を記念した、地域の歴史や文化の学びにつながる活動 ※営利、政治、宗教を目的とした事業を除く。 対象団体/ 構成員の過半数が鶴岡市民である5人以上の団体 支援内容/①グループ活動部門…新規性のある活動に掛かる経費、または既存活動を拡充して 特別な取り組みを行うための経費の3分の2(上限10万円)を補助 ②集客イベント部門…新規性のある参加人数800人以上のイベント開催に掛かる経費の2分の1(上限20万円)を補助 募集件数/①10団体程度 ②3団体程度 申込み/5月20日(金)まで支援申請書等を本所政策企画課へ  ※採択の可否を5月31日(火)まで連絡 その他/申請書等のダウンロードなど詳しくは記念事業実行委員会ホームページ、または直接お問い合わせください