‐特集‐ 駅前を「人とまちを育てる場」に 鶴岡駅前地区将来ビジョン。 ◯問合せ 本所都市計画課?35‐1315  駅前は〝まちの顔?。大正8 年に現在の場所に鶴岡駅が開業して以降、鶴岡駅前地区は、商業や産業が集積する〝鶴岡の顔?として発展を遂げてきました。昭和62年には市街地再開発事業によって、マリカ東館・西館がオープン。鶴岡駅 前は、商業や交通の中心的なエリアとして活況を呈していました。  しかし、再開発から30年余りが経過した現在、人口減少や商業機能の低下などの影響もあって、多くの地方都市の駅前と同様、かつてのようなにぎわいが失われつつあります。 駅前は今   平成17年に大規模商業施設であったジャスコ鶴岡店とマリカ東館ショッピングセンターが閉店して以降、市では駅前施設の公共的な利用を進めてきました。  平成21年に、マリカ東館に地域企業の経営力強化支援や創業支援などを行う「庄内地域産業振興センター」を移転し、また、自由来館型子育て広場「まんまルーム」を開設。29年には、東館1階に鶴岡の食文化の情報発信拠点として「つるおか食文化市場FOODE VER(フーデェヴァー)」をオープンし、観光案内所も併設しました。 駅前が抱える課題  市では、駅前が、市内外から多くの人が訪れるエリアとなるよう取り組みを進めているところですが、次のような課題もあります。 ①駅利用者の変化 駅自体の利用者が減少していて、約6割が高校生の通学での利用となっていることから、利用者の実態を踏まえた駅前の在り方を検る必要がある ②駅前の魅力の低下  大規模商業施設の閉店によって、駅前の商業機能が低下し、小売販売額や通行量が減少していることから、駅の利用者が滞留したくなる、また、みんなが訪れたくなる魅力を創出する必要がある ③施設設備の更新の必要性と大規模遊休地の存在 築30 年余りが経過し、主要設備が更新時期を迎えているマリカと、大規模商業施設の閉店に伴う空き地の利活用を検討する必要がある ④駅前に行く機会・用事の減少  大規模商業施設の閉店に端を発する小売店舗等の撤退で、市民が駅前に行く機会・用事が減少している。一方で、子育て支援施設や起業支援施設などには一定の需要があり、市民のニーズや将来を見据えて、駅前の利活用を検討する必要がある 鶴岡駅前地区将来ビジョンの策定  そこで市では、これらの課題を踏まえ、駅前の将来のあるべき姿を想定したグランドデザイン(=全体構想)を示すため『鶴岡駅前地区将来ビジョン』(以下、ビジョン)を策定しました。  策定に当たっては、有識者や民間事業者、地元関係者などで構成する「城下のまち鶴岡将来構想策定委員会」で議論を重ねました。  デジタル化や国際化の進展、働き方・ライフスタイルの多様化などに伴って、駅前地区の将来の生活・社会は大きく様変わりし、求められる役割や機能も変化していくと考えられます。  ビジョンでは、※「選択と集中」の観点を加え、時代の先を見据えた駅前の将来像を描いています。 ※選択と集中…強みのある特定の分野を見極め、そこに人材や資金などの資源を集中的に投下すること 駅前地区の将来像 ●高校生が集い使う、にぎわいのある「駅前」 ●学びの場、活動の場にあふれる「駅前」 ●デジタルで広がり、新たな創造を生む「駅前」 ●歴史・文化の地から(力(ちから))、世界とつながる「拠点」 ●高校生の愛着が育ち、誇りを持てる「まち」 創造・再生 にぎわい・活力 交流・活動 学び 高校生 × 関係人口 市ホームページに同ビジョンを掲載しています Message  城下のまち鶴岡将来構想策定委員会委員長 上木 勝司氏 (鶴岡市都市計画審議会会長)  今回、ビジョンの策定に当たっては、いろいろな立場の方に参加いただいて検討を進めました。会議では皆さんからの意欲的で率直な発言により、大変活発な議論ができました。  ビジョンは、鶴岡駅前のグランドデザインと、 その実現に向けた実行計画案で構成されています。このビジョンが鶴岡駅前を生まれ変わらせるだけにとどまらず、鶴岡市全体ににぎわいを広げてゆく、人とまちを育てる鶴岡市の指針となることを期待します。 城下のまち鶴岡将来構想策定委員会アドバイザー 中山 ダイスケ氏 (東北芸術工科大学学長)  駅前に新たなにぎわいを創り出すには「新しい用事」が必要です。  今回、ビジョンのターゲットを、駅を主に利用する高校生に据えて、駅前を、高校生や子育て世代、高齢者など市民の皆さんが一緒に学べる学校のような場所、いわば〝令和の藩校〟にしようというコンセプトを打ち出しました。  その一つのイメージとしてイラストを描きました。これから、市民の皆さんが駅前にたくさんの物語を描いてくれることを期待しています。 鶴岡駅前・令和の藩校 近未来イメージ ジャスコ跡地やマリカ広場の活用に取り組み、にぎわいを創出 します。また、マリカ東館を、いわば〝令和の藩校〟の拠点として位置付け、多様な世代の人々が集える場を目指します。 【外観】 鶴岡駅 ジャスコ跡地の活用 マリカ広場の再活用 【マリカ東館2F】 高校生を中心に多くの人々が活動し交流することでにぎわいを見せる、マリカ東館2階のイメージです。 まちづくりの主役は〝高校生?  未来を見据えたまちづくり。ビジョンが描く駅前の将来像は「高校生や世代を越えた市民が集い、学び、交流す る〝学びのサードプレイス?※」です。 ※サードプレイス…自宅、学校(職場)以外の第3の居場所  現在の駅利用の主役は高校生です。駅前を、高校生たちが集まり、学び、活動し、楽しみながら地域と関わる場所とし、高校生とともに子育て世代や高齢者、更に鶴岡を訪れる観光客も楽しめる場所にすることで、真に豊かで暮らしやすい鶴岡を目指します。 4つのエリアで魅力を創出!  ビジョンでは、駅前を大きく4つのエリアに分け、それぞれに違った機能を持たせることにしています。 ①学び・活動エリア マリカ東館を中心に、高校生や世代を越えた人々の学習と交流の拠点とし、市民が主体的に関わる取り組みが次々と生まれるような活動の場の創出を目指します。同時に子育て支援や起業支援等の機能強化にも取り組みます ②にぎわい・発信エリア 駅前からエスモールに至るエリアでは、学び・活動エリアと連携し、FOODEVERや観光案内拠点の情報発信機能強化に取り組み、駅前に集まった人々が近隣の商店街や商業施設に訪れることができるよう地域の連携を進めます。また、歩行空間の充実等によって、快適な街歩きが楽しめる空間を作ります ③憩い・交流エリア 遊休地のジャスコ鶴岡店跡地を、人々が憩い、遊び、交流できる快適なオープンスペースとし、イベントや展示、定期市などを開催することで、にぎわいを創出します ④駅ターミナルエリア 鶴岡駅の交通結節機能の維持・向上を図るとともに、2次交通を充実させ、観光案内拠点と連携した観光促進を図ります。また、歩行者や自転車が快適に移動できる空間を整備し、駅前に気軽に集まりやすい環境を作ります 学び・活動エリアは〝令和の藩校?  ビジョンでは、マリカ東館を中心とする「学び・活動エリア」を、いわば〝令和の藩校?と位置付けました。  鶴岡には、藩校致道館をルーツとした教学の精神が脈々と受け継がれており、確かな学びの土台があります。  〝令和の藩校?には、「学びの場」とともに「人材育成の場」「まち育ての場」としての役割が期待されます。駅前の整備に当たっては、この〝令和の藩校?を中核的なエリアとして、ほかのエリアに先行して整備を進めます。 駅前を新しい〝鶴岡の顔?に!  今回策定したビジョンは、駅前整備の方向性を示したものです。  今後は、高校生の生の声を聞いたり、社会実験を実施し効果の検証をしたりしながら、より具体的な整備運営基本計画を策定し、段階的に駅前のにぎわいづくりを進めます。  かつては、商業や交通の中心としての顔を見せていた駅前。しかし、時代の移り変わりとともに、今まさに新しい顔に生まれ変わるべきときが来ました。まちづくりは、市民の皆さんの力を借りなければできません。一緒に新しい〝鶴岡の顔?を作っていきましょう! 現役高校生に聞いてみた! どんな鶴岡駅前だったら行きたいですか? みなみさん みさきさん りんさん りおさん りお 今のマリカ広場のとこって何か暗い感じがするよね? りん 確かに。あそこが明るくなって、例えば、野外ステージとかができたら、楽しいイベントができそうだけどなー。 みなみ 駅前で、年齢層関係なく誰もが行きたくなるイベントが定期的にあったら行くよね。 みさき あと、ちょっとしたテーマパーク的な公園があったら行きたいかも。そこに映えスポットを作るとか? みなみ そこで、ちょっとした運動なんかもできるとうれしいんだけどな。 りん アウトドアでもインドアでも楽しめる場所になったら、きっと人もたくさん来るよね。 みなみ 人が集まって交流できる、いろんな飲食店もあるといいなー。 みさき お手頃価格の、はやりのスイーツ店とかね。 りお 鶴岡はおいしいラーメン屋さんがいっぱいあるから、ラーメンストリートみたいなのがあっても面白いかも。 りん 高校生がたくさん集まって、別の学校の生徒同士が交流できる場所になると楽しそう。 りお 私たちはもう卒業しちゃうけど、そういう場所だったら行きたいって思うよね。 みさき 行って楽しいって、みんなが思える駅前だったらうれしいよね! 大学生にも聞いてみました! 3月に市内の高校を卒業し山形市の大学に通う 江口 大也 さん  今年の4月から山形市に住んでいます。駅の広場で様々なイベントをしているのを見て、鶴岡駅前にもそういう場所があればいいなと思っていました。ジャスコの跡地やマリカ広場が、そうなってくれたらうれしいですね。加えて、駅前が障害のある方や妊婦さん、お年寄りも安心して歩けるエリアになれば、更に活性化すると思うのでぜひ実現してほしいです。  あと、市役所周辺の歴史的建造物や駅から離れた観光名所などが、駅前に大きく宣伝されていたら、駅前だけでなく、鶴岡市全体を盛り上げられると思います。  今までは、若い学生が交流する場や遊べる場が余りなかったので、令和の藩校のイメージのように若者が楽しめる駅前になってくれると、地域の活性化につながるのではないでしょうか!