藤沢周平氏の著作『小説の周辺』が「魯迅文学賞」を受賞しました 問合せ 藤沢周平記念館?29‐1880  本市出身の作家で、市が特別顕彰として推戴している藤沢周平氏のエッセー集『小説の周辺』竺祖慈(ち くじに)訳(中国語簡体字版)が、第8回「魯迅文学賞」翻訳文学部門を受賞しました。同賞に日本人の作品が選ばれるのは、2007年の大江健三郎氏に続き2人目です。  魯迅文学賞は、中国作家協会が1995年に創設し、中国で最も栄誉ある文学賞の一つとされています。1997年に第1回の受賞作品の発表があり、以来、4年ごとに発表。 中・短編小説、ノンフィクション、詩歌、散文、文学評論、外国文学作品の翻訳部門が設けられています。  今回受賞した『小説の周辺』は、藤沢周平氏の日常の出来事、郷里鶴岡のことや子供の頃の思い出、創作秘話などがつづられています。藤沢氏の人柄がしのばれるとともに、鶴岡を懐かしむ思い、執筆の背景や作家として転機となった作品などが興味深く書かれています。  受賞選評には「日本人作家藤沢周平氏による『小説の周辺』は、なめらかな語り口のうちに穏やかさと知恵が満ちている。翻訳者・竺祖慈氏の熟練した訳筆は真に迫り、原著者と同じような心境に至ったであろう」とあります。ぜひ、皆さんも読んでみてください。 藤沢周平 氏 黄金村大字高坂(現鶴岡市高坂)生まれ。旧制鶴岡中学校夜間部、山形師範学校を卒業。教師となり湯田川中学校に赴任するも2年後に肺結核が見つかり休職。6年余りの闘病の後、東京の業界新聞に勤務。仕事の傍ら小説を執筆し、昭和46年に「溟い海」でオール讀物新人賞、昭和48年に「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。昭和60年から平成8年まで直木賞選考委員を務める。『?しぐれ』『用心棒日月抄』『三屋清左衛門残日録』『たそがれ清兵衛』『橋ものがたり』『海鳴り』『白き瓶』など数多くの作品を執筆した。吉川英治文学賞、菊池寛賞などを受賞、平成7年紫綬褒章受章。平成9年逝去。 『小説の周辺』 受賞によせて  藤沢周平記念館監修者 遠藤展子 氏 (藤沢周平氏長女)  「『小説の周辺』が魯迅文学賞翻訳部門を受賞しました」と文藝春秋から連絡が入ったのは九月六日のことでした。父の没後二十五年に思いもかけない嬉しい知らせでした。  文藝春秋と新潮社から刊行されている本の中から十二冊が中国で翻訳され、その中の一冊が『小説の周辺』でした。国や文化を超えて、父の日常や考え方に共感していただけたのは嬉しいことでした。翻訳家の竺祖慈先生には心から感謝しています。  このエッセイ集には、鶴岡・庄内のこともたくさん描かれています。エッセイを通じて、広く鶴岡のことを知っていただくきっかけになり、作家藤沢周平を生んだ故郷に少しでも恩返しが出来たらと思います。  藤沢周平記念館では、『小説の周辺』と他、十一冊全ての中国語版の翻訳本を展示しています。記念館でご覧いただければと思います。  今まで支えて下さった皆さんに感謝し、これからも喜んでいただけるようがんばりますのでよろしくお願いします。