今年は 卯(う)年です 月山卯歳御縁年です 令和5年は卯(ウサギ)年。 出羽三山は、それぞれが開山された十二支の御縁年に登ると、よりご利益があるとされています。卯年である欽明8年(547)に、月山神が姿を現したと伝えられていることから、今年は月山卯歳御縁年に当たります。  月との関わりが深いウサギは、月山では月山神の使いとされていて、八合目の御田原神社のそばには大きなウサギの石像があります。 また、羽黒山・松例祭の神事「験競(げんくら)べ」にもウサギが登場します。この神事は、12人の山伏が、カラスのように飛び上がる力と、机を素早く叩いて信心を伝える力を競い合うもの。ウサギは、神の使いとして判定役を務めます。 カラスは羽黒神の使いで太陽≠、ウサギは月≠、山伏の人数は12か月を象徴し、日月の運行から1年の吉凶を占う神事なのだそうです。 野生動物としてのウサギ 雪原に点々と続く不思議な形の足跡。野生のノウサギを見たことがありますか。山形県に生息しているのはトウホクノウサギという種類で、雪の上でも沈まない大きな後ろ足や、冬になると真っ白になる体毛が特徴です。庄内でも昔から、毛皮や食肉として人々に利用されてきた、身近な動物です。 ところが近年の調査で、ノウサギが全国的に減少傾向にあることが分かってきました。山村の過疎化などで、里山の管理が行き届かなくなり、ノウサギの好む草原的環境が減ったことが原因の一つだと推察されています。 人間と自然との関わり方の大切さを考えさせられる例です。 災いを飛び越えて 「脱兎の勢い」「兎の登り坂」などの慣用句に使われるように、ウサギには追われる存在ならではの、強じんな脚力を持つイメージがあります。 また、平安時代後期から鎌倉時代に描かれたとされる国宝『鳥獣人物戯画』では、擬人化されたウサギが、伸び伸びと走り回る様子が描かれています。 世界的に続く様々な困難を乗り越えていきたい令和5年。厳しい自然界の中でたくましく生きるウサギから、生き抜くヒントを見つけることができるかもしれません。 ▲月山・御田原神社の「なで兎」 ▲松例祭「験競べ-兎の神事」(提供:羽黒町観光協会) ▲ノウサギの足跡。跳び箱を越えるように、大きな後ろ足を前に出して跳ねていきます 広報つるおか 令和5年1月号 No.298 環境に配慮し古紙再生紙と植物油インキを使用しています