特集 差別のない地域共生社会へ 障害を知ることから始めてみませんか  皆さんは、「障害」に対して、どんなイメージを持っていますか。また、障害のある方にどのような配慮をすれば良いと思いますか。 障害のある方にはいつも付添いが必要だよね 視覚障害のある方には点字で伝えるのが良いよね  ほんの一例ですが、これらの考えは、障害をよく理解していないことによる思い込みの場合があります。思い込みをしたまま障害のある方に接すると、思わぬ差別につながるおそれもあります。  平成28年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)」が施行され、障害のある方が障害のない方と同じように生活できるように「合理的な配慮をすること」や、「不当な差別をしないこと」などが定められました。  本市では、令和2年に「鶴岡市障害を理由とする差別解消の推進に関する条例」を制定し、障害の有無にかかわらず、全ての市民が生き生きと暮らせる社会を目指しています。また、条例では、市民の役割の一つとして、障害や障害のある方への理解を深めることが定められています。  今回の特集では、障害者就労継続支援事業所の職員や障害のある方へのインタビューを交え、障害に対する理解を深めていきます。  差別がなく思いやりがある。そのような地域共生社会にするために、まずは障害を知ることから始めてみませんか。 ●問合せ 本所福祉課?35‐1273 写真 障害者施設で作られた雑貨や食品を販売する「きてみて市」 ヘルプマーク 手話講座 障害者就労継続支援事業所の様子 障害を知ることが第一歩 Point01 障害には様々な種類があります 肢体不自由 視覚障害 聴覚障害 内部障害 知的障害 発達障害 精神障害 知的障害や精神障害、体の内部に病気を抱えている内部障害など、外見からは分からない障害もあります。 Point02 障害の程度や特性は人それぞれです 視覚障害 → 視覚障害のある方全員が点字を読めるとは限りません。文章の読み上げなどを必要とする人もいます。 聴覚障害 → 全く聞こえない人や、少しだけ聞こえる人、高い音が聞き取りにくい人など、聞こえ方は様々です。 配慮してほしいことなども人によって違います。障害のある方一人ひとりと向き合うことが障害を理解することにつながります。 ★ヘルプマークは周囲の配慮が必要な方のマークです このマークを付けた方を見掛けたら、公共交通機関等で席を譲ったり、困っているときに声を掛けたりしましょう。 ▲ヘルプマークは市で配布しています 障害者就労継続支援事業所の職員に聞いてみました 教えて香曽我部さん! 香曽我部 寛(こうそかべ ひろし) さん 就労継続支援A型(※)事業所のself‐A・よつ葉鶴岡職業指導員 障害について知ってほしいことは何ですか? 見た目では障害と分からない部分もあり、周囲に理解されずに苦しんでいる方もいることです。 Q. 障害に対して思い込みをしないためには? A. 私たち事業所の職員でも、思い込みをしてしまうことがあります。大事なことは自分が思い込みをしているかも≠ニ意識して、できるだけ先入観のない判断を心掛けることですね。 Q. 障害のある方もない方もともに生きる社会を作るために大切なことは? A. 障害に対する理解と寛容さがあって、初めてスタートラインに立てると思います。また、自治体や企業が障害福祉施策を更に推進することで、誰もが暮らしやすい社会になるのではないでしょうか。 ※障害のある方などと雇用契約を結んで働く機会を提供し、就労の知識や能力の向上のために必要な訓練を行う福祉サービス。 大切なことは合理的配慮 合理的配慮とは障害のある方が障害のない方と同じように生活できるように、無理のない範囲で配慮すること 合理的配慮で大切なこと ・必要とする配慮は人それぞれ ・やむを得ず対応できないときは理由や事情を説明する 合理的配慮の例 肢体不自由のある方に ・車椅子を押したり、扉を開けたりする ・段差にスロープを用意する ・移動の妨げになる物を通路に置かない 知的障害のある方に ・分かりやすい表現やイラストを使って説明し、その都度理解したことを確認する ・騒音などの刺激のない落ち着いた場所を用意する 視覚障害のある方に ・書類を読み上げて伝える ・「こちら」ではなく、「2歩先」など具体的に伝える ・本人の意思を確認した上で代わりに機器操作を行う 聴覚障害のある方に ・筆談で内容を伝える ・音声が必要ないFAXやメールなどの連絡先を伝える ・催しなどに手話通訳や要約筆記の支援者を配置する 教えて水上さん! 水上 丈司(みずかみ たけし)さん よつ葉鶴岡に通所。内部障害があり、通院している。趣味は金属磨き。つるおか障害者アート展に出品 合理的配慮によって、楽になった経験はありますか? 体調不良で入院し、退院した際に、ふだんは使わない車椅子を用意してくれました。 助けを口に出せない人もいます  通院するときに体調が良くないときがありますが、私は「つらい」と口に出せないタイプで、周囲も私を見ただけでは障害者だと気付かないと思います。でも、かなりつらそうに見えるときは、やはり声を掛けてくれるとうれしいですね。  障害があることがどれだけつらいかは、障害者になってみないと分からないと思います。偏見による差別がない社会を望みます。 写真▲絵画作品を世界に発信するために香曽我部さんと相談しています 不当な差別は絶対にやめましょう  障害者差別解消法と市の条例では、正当な理由がなく、障害または障害に関連することを理由とした、不当な差別的取り扱いを禁止しています。  やむを得ない理由により障害のない方と異なる対応をする場合は、具体的な理由を示して相手の理解を得るよう努めてください。 不当な差別とは やむを得ない理由がなく、障害があるという理由だけで、異なる対応をすること ★差別を受けたときの相談先 本所福祉課?35‐1273または鶴岡市障害者相談支援センター(にこころ)?25‐2794へ 不当な差別の例 窓口での対応を後回しにする 障害のある方を無視して、付添いの人だけに話し掛ける サービス提供の際に、介助者の付添いなどの条件を付ける 障害のある子がいる保護者への理解  障害のある子がいる保護者が周りから理解されずに孤立するケースが増えています。誰一人取り残さない社会にするためにも障害を理解することが大切です。 市の主な障害福祉事業を紹介します 手話通訳・要約筆記の支援者を派遣します ■派遣の対象 ・公的機関での申請・相談等 ・医療機関での診察・検査等 ・就職・勤労に関する手続き等 ・聴覚障害者等の参加が予想される講演会等 ■利用できる人・団体 ・市内在住の聴覚障害者 ・市内で開催する講演会等の主催団体 ■申込み 希望する日の7日前までに派遣申請書(市ホームページからダウンロード可)を本所福祉課?35‐1273に提出 広報つるおかをCDやカセットテープで聞けます! 「声の広報」の貸出し ■利用できる人 視覚障害があり、文字による情報入手が困難な方 ■申込み 本所福祉課?35‐1273または各地域庁舎市民福祉課へ 障害のある方の日常が感じられる作品や面白いアイデアがあふれた作品が並びます つるおか障害者アート展 市内在住の障害のある方の芸術創作活動やその作品を発表する場として、鶴岡アートフォーラムを会場に毎年秋に開催しています。 オンライン展覧会も行っています 写真▲酒井家庄内入部400年記念式典の際の手話通訳と要約筆記