−新連載− 広報つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 1 庄内地方唯一の周産期母子医療センター  荘内病院は地域の中核病院として、他の医療機関と連携しながら、高度かつ良質な医療の提供と、心の籠もった患者サービスに努めています。  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。1回目は小児科と産婦人科です。赤ちゃんとお母さんの双方にとって、安全なお産を最優先に行える施設である、新生児集中治療室(NICU)を備えた周産期母子医療センターを担当する診療科です。 ◯問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 小児科 熱性けいれんってどのような病気? 3歳の子供が夜中に39度超の熱とひきつけを起こし、救急外来で診てもらったら「熱性けいれん」と診断されました。詳しく教えてください。  熱性けいれんは、生後6か月から5歳くらいまでのお子さんに見られる、発熱に伴うけいれん発作です。子供のけいれんでは最も多く、日本では約10人〜20人に1人の割合で見られます。発熱に伴ってけいれんを起こす疾患は熱性けいれん以外にもあるため、特に初めてけいれんを起こした場合はすぐに受診が必要です。また、@けいれんが5分以上続く、Aけいれんが止まっても意識が戻らない、B唇の色が紫色で顔色が悪い、のいずれかに当てはまる場合には救急車を呼びましょう。  熱性けいれんを起こしたお子さんの3人に1人は熱性けいれんを繰り返すため、けいれんの対処法を知ることも大切です。慌てずに静かに寝かせ、顔を横向きにします。これは、吐いた物が喉に詰まらないようにするためですが、口の中にタオルなどを入れることも窒息の原因となるため、避けましょう。熱性けいれんを繰り返す場合、抗けいれん薬の予防投与が必要になることがあります。予防投与の必要性や、次にけいれんしたときの受診のタイミングについては、主治医とよく相談しておく必要があります。  県が発行する「子どもの病気・けがガイドブック」にも分かりやすい対応表が載っています。ホームページにも掲載されていますので、ぜひご確認ください。 荘内病院の小児科  庄内地域唯一のNICUを有する新生児医療の拠点です。重症新生児や重症小児の診療が最も重要な任務ですが、各領域の専門医が在籍し、専門性の高い小児医療を提供しています。お子さんの症状にお悩みの場合はご相談ください。 小児科医師 齋藤 なか 産婦人科 子宮頸がんの予防ワクチンって安全ですか? 14歳の娘がいる母親です。子宮頸がんの予防にはワクチン接種が有効と聞きましたが、副反応が心配です。ワクチンを打たせて大丈夫でしょうか。  日本では毎年、1万人以上の女性が子宮頸(けい)がんを発症し、約2、900人の方が亡くなっています。また30歳台までに治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなる)方も、毎年約1、000人います。  子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを接種することで、50%〜70%の確率で発症を予防することができます。80%〜90%の予防効果があるワクチンも開発されています。  ワクチン接種の副反応として、接種した箇所の痛みや腫れ、赤みなどがあります。呼吸困難やじんましんなど、重篤な症状は、1万人当たり5人〜7人と報告されています。子宮頸がんの予防効果等のメリットが、副反応等のデメリットより大きいことが確認されているため、ワクチン接種を勧めています。  詳しくは厚生労働省発行のリーフレットをご覧ください。ホームページにも掲載されています。 荘内病院の産婦人科  NICUを備えた「地域周産期母子医療センター」として、24時間体制でハイリスク妊娠の紹介・搬送を数多く受け入れています。産後も安心して育児ができるように、助産師による育児相談なども行っています。  婦人科では、開腹手術に比べて傷が小さく術後の回復や社会復帰が早い腹腔鏡手術に積極的に取り組んでいます。県内では、山形大学病院に次いで日本産婦人科内視鏡学会認定研修施設に認定されました。婦人科悪性腫瘍の治療についても婦人科腫瘍専門医が常勤し、がん患者の多様なニーズに対応しています。 産婦人科医師 五十嵐 裕一 令和5年8月号 No.305 環境に配慮し植物油イ ンキを使用しています