‐連載‐ 広報 つるおかの医療相談 荘内病院の医師が疑問を解決! vol. 4 「肝硬変」と「指先のしびれ」  この連載では、医療の身近な疑問に、荘内病院の様々な診療科の医師がお答えします。4回目となる今回は、消化器科と整形外科です。  当院では、鶴岡協立病院、庄内余目病院と「鶴岡・田川3病院地域包括ケアパス」の連携協定を結んでいます。患者さんの治療計画を共有することで、継続した医療を提供し、円滑な療養が進むように取り組んでいます。 ◯問合せ 荘内病院総務課?26‐5111 消化器科 肝硬変にならない生活習慣を教えて お酒は全く飲まないのですが、検診で肝機能異常を指摘されました。肝硬変になるのではと心配です。  日本人の死因の第1位はがん、第2位は心筋梗塞ですが、実は肝硬変は6番目に多い死因です。肝硬変になると、基本的に肝移植でしか治療することができません。このため、いかに肝硬変にならないようにするかがポイントとなります。  肝硬変の原因の多くはアルコールの多飲です。指標としては、日本酒換算で「毎日5合以上を10年間継続」すると肝硬変になるといわれています。しかし、毎日3合なら大丈夫ということではなく、毎日3合20年間というように、累積したアルコール量が同じであれば、肝硬変になるリスクは変わりません。  飲酒量は、連日なら日本酒換算で1合未満、可能であれば連日ではなく週末限定、理想的には機会飲酒が望ましいです。  また近年、お酒を全く飲まない方でも、脂肪肝から肝硬変になるケースが増えています。非アルコール性脂肪肝性肝疾患(NAFLD)もしくは代謝障害性肝疾患(MASLD)と呼ばれる病態から、肝硬変に移行するケースです。  このNAFLDは、生活習慣病や肥満から脂肪肝になる病態です。長年放置すると肝硬変に移行するリスクが高まります。運動を習慣づけたり、塩分を控え野菜を多めにとったりするなど、日常的に生活習慣病を予防する意識が重要です。    荘内病院の消化器科  荘内病院では毎週水曜日、肝臓を専門とする山形大学の先生が来院し、肝臓外来を開設しています。  この肝臓外来は、開業医からの紹介で当院消化器科を受診した後、紹介可能となります。検診などで肝機能障害を指摘されて対応にお困りの方は、ご相談ください。 消化器科医師 古屋紀彦 整形外科 指先のしびれが続いています 60代女性です。親指から中指の先が数か月前からしびれるようになり、細かい作業が難しくなりました。受診をした方が良いでしょうか。  手指のしびれを引き起こす代表的な疾患として、手根管症候群があります。これは、手に向かう神経の一つが、手首にある手根管というトンネルで圧迫を受けることで起こります。  主な症状は、親指から薬指にかけてのしびれと痛みで、夜間や明け方に強く症状が出ます。進行すると、親指の付け根の筋肉が萎縮し、ボタン掛けなど細かい作業が困難となります。  診断は、病歴・診察・検査で総合的に判断します。代表的な検査は神経伝導速度検査です。神経に電気を流し、その速度から圧迫などの障害を診断します。また、原因によりレントゲンやエコー検査、MRIなどを追加します。  治療は、症状が軽度であれば薬物治療や安静などの保存療法を行います。しかし、しびれが強く、検査で神経の障害が明らかであれば手術療法が必要となります。当院では主に局所麻酔で内視鏡を用い、より小さい切開創で手術を行っています。  手根管症候群は、発症からの期間が短いほど、しびれや萎縮した筋肉の回復が良い傾向にあるため、早期の治療が重要です。手のしびれや痛みなどでお困りの際は、整形外科を受診し、検査を受けることをお勧めします。    荘内病院の整形外科  外傷を中心に年間約1、000件の手術を行うなど、地域の拠点病院としての役割を担っています。常勤医師による専門外来は手の外科、膝関節が主体ですが、外勤医師の応援により幅広い疾患に対応しています。  近年、高齢化が進み、骨粗鬆(しょう)症が原因の骨折が問題視されています。当院でも、積極的な骨密度検査や骨折予防に取り組んでいます。 整形外科医師 土屋潤平 令和6年3月号 No.312 環境に配慮し植物油インキを使用しています