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広報つるおか2019.10月号

更新日:2019年9月27日

市長の一筆入魂(21)

 市長就任から間もなく2年。就任直後に江戸川区役所を訪問し、職員総出の歓迎を受けたことは忘れられない。本年は江戸川から本市への学童疎開から75年の節目の年。苦しく、厳しい時代、多感な小学生を温かく迎えた鶴岡市民。あの拍手は私そのものではなく、あの時代、そしてその後交流を継続してきた鶴岡市民に向けられたものにほかならない。
 鶴岡と江戸川の両校が相まみえることとなった夏の甲子園。鶴岡東と関東第一との試合を甲子園で一緒に応援しないかと持ち掛けてきたのは、この春に就任された斉藤猛江戸川区長さんだった。当日は赤川花火大会の日。甲子園での応援は諦め、それに代えて私が提案したのは、テレビ電話での首長同士のエール交換だった。疎開の時代には想像することもなかったであろう試合を前に、両首長は両校の帽子をかぶって笑顔で言葉を交わした。メガホンに加えボールを用意した斉藤区長の周到さに差し込まれるも、パブリックビューイングの開催で切り返し、真剣勝負の前の場外戦を展開したのだった。
 この夏、旧ホテル雷屋の撤去を進める方針を固めた。所有者の責任は?モラルハザードを生むのでは?法的な問題を含め、市職員がこの問題をきっちり詰めてくれた。中心となっているのは建設部の建築課と市民部の環境課だ。法的な最大の論点は、所有者に責任を問えないのか、という点である。旧ホテル雷屋の所有者である法人については、平成22年に破産手続きが廃止され、現状は実体のない清算法人が所有している。当時の法人の元役員はおられるものの、社会的責任は求められても法的には責任は問えないのだ。略式代執行の手続きを順を追って進める以外に、危険な建築物を撤去する手段は事実上存在しない。方針決定まで約10年掛かった。地元小堅地区からは何度もその危険性、不安な日々についての相談を受けてきた。6月18日の山形県沖地震を踏まえれば、これ以上放置しておくことはできない、職員たちが検討を積み重ね、知恵を絞って国や県との調整を含めて動いてくれた。
 この2年、つくづく感じるのは、鶴岡を支えているのは温かい市民であり、チャレンジ精神にあふれた企業であり、素晴らしい歴史、自然、そしてそれを活かして新たなものを創造しようとする心だということである。
 三木清さんの『人生論ノート』という本を手にとったのは、将来に迷い悩んだ大学生の頃だったか。人間の感情の中で最も厄介な感情は「嫉妬」だそうだ。国内外を見渡せば、残念ながら私たちの社会には、いまだ異なるものを排除しようとする攻撃的な「嫉妬」の心が渦巻いている。私たちの街がこれからも爽やかに、明るく、人をひきつける街であるために、江戸川区の小学生を温かく迎えた鶴岡市民のように、人の痛みの分かる、あつい民情のある街であり続けたい。

皆川 治

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