藤沢周平 作品題名書道展

山形県立鶴岡中央高等学校書道部の協力のもと藤沢作品の題名書道展を以下のとおり開催します。
藤沢作品を読んで感じたことをもとに、題名を書き表しました。
書道部の皆様の感性豊かな表現をぜひご覧ください。
●展示内容
・鶴岡中央高等学校書道部の揮毫作品16点
●日程・場所
【東田川文化記念館】
・期間 12月3日(水)~12月11日(木)※月曜休館
・時間 午前9時~午後4時30分
・会場 東田川文化記念館 ギャラリー藤
(鶴岡市藤島字山ノ前99)
【鶴岡アートフォーラム】
※高校生アートフォーラム展19と同時開催
・期間 12月13日(土)~12月21日(日)※月曜休館
・時間 午前9時~午後5時30分
・会場 鶴岡アートフォーラム ギャラリー
(鶴岡市馬場町13番3号)
ミニギャラリー 第10回 作品題名書道展
―――――――――――― 作 品 紹 介 ――――――――――――
『雪間草』『花のあと』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
藩主の側室から尼となったが、昔の許嫁の窮地を藩主にかけ合って救う話で、主人公の松江の尼となりながらも、昔の許嫁のために一人身で向かう強さが印象的だった。
<作品制作に込めた思い>
題名にあるとおり、春の訪れを実感させる、やわらかい印象と、藩主のもとへ、一人で向かうという強い印象を、線の鋭さとにじみで表現し、工夫して制作した。
『三年目』『神隠し』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
十七のときから三年間一途に待った女のもとに男が帰ってきた。しかし、男は女にもう三年待ってくれという。待つか、それぞれとも男を追うか。女の人生の選択が描かれた物語。
<作品制作に込めた思い>
六年間男を待つと決めた意志の強さと恋する女の柔らかさが伝わるように書きました。
「狐の足あと」『春秋山伏記』(新潮文庫/角川文庫)
<作品を読んでみての感想>
「狐の足あと」という題名から、あたたかい話だと思っていたが、貧しい生活だったり、噂まみれの村での暮らしの内容で、暗く、生きづらい世界が描かれていると感じた。
<作品制作に込めた思い>
自分の思いどおりの生活をおくれず、自由ではないという内容から、硬い感じで文字の自由さを減らしてみた。また、溟い印象をうすい色で表現した。
『空蟬の女』『無用の隠密 未刊行初期短篇』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
二人の子供を亡くし、夫には好きな人ができてこの先、何の楽しみもなくしてしまった「お幸」に明るい兆しが芽生えるといいなと感じた。
<作品制作に込めた思い>
暗闇の中にいるお幸に、希望の光が差すように勢いをつけて力強く表現した。
『春の雪』『長門守の陰謀』(文春文庫/講談社文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
一途な愛を貫く男とその愛に対し答えることはできなくても、誠意を表したいと思う女。自分の気持ちに正直で心の強さを感じました。
<作品制作に込めた思い>
真っ直ぐな変わらない思いを感じ太さで書き表し、女性らしさをやわらかい字体で書き表しました。
『泣く母』『霜の朝』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
15歳で同い歳だけど、母に悲しい思いをさせたくないという小四郎の気持ちから頼もしさを感じました。
<作品制作に込めた思い>
小四郎の、母に悲しい思いをさせたくなかったと伝えたい思いが言葉にならないもどかしさと泣く母の思いを、ふんわりとでもさびしさを感じる様なタッチにしてみました。
『雪明かり』『雪明かり』(講談社文庫)所収、『時雨のあと』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
雪の中を一人歩いていた菊四郎は久々に妹由乃に再会する。風の便りで由乃の病気を知るも全く合わせてくれない夫から何とか取り戻そうとする家族のきずなが感じられた。
<作品制作に込めた思い>
雪のぼんやりした感じと、菊四郎と由乃の二人の会話のあたたかく柔らかい感じを表現しました。
『疑惑』『花のあと』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
蠟燭問屋の主人が殺され、女房のおるいも縛られた事件。殺しと縛りがたくさんできて苦しい感じが伝わり、心が落ち着かない感じがしました。
<作品制作に込めた思い>
題名である「疑惑」という言葉をぼんやりと、人々の争いの場面を強く鋭さを意識して書きました。
『橋ものがたり』(新潮文庫)
<作品を読んでみての感想>
どの短編もほろ苦い恋のお話で、最初の「約束」では、今の時代では考えられないできごとの連続で、昔の貧しかった女性にとって厳しい時代だったことが痛切に感じられた。
<作品制作に込めた思い>
どの短編にも共通する、人に恋い焦がれる思い、様子を淡い表現で、その思いの大きさ、強さを線の太さで表現した。
『時雨のあと』『時雨のあと』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
この作品では、主人公が過去の思い出や愛情に影響されて成長していく物語が描かれています。読んでみて、人とのつながりを深めることで自身の成長につながるのだと感じました。
<作品制作に込めた思い>
私は、主人公が愛する人を失っていく切なさ、過去の思い出が主人公に与える希望を感じたので、愛情、切なさなどをイメージして墨を薄くし、小さめに書いて制作しました。
『花のあと』『花のあと』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
武家の娘以登が叶わない恋と剣士孫四郎の死を受け入れ儚さを胸に、強く生きる物語。好きな人が亡くなってしまうのが辛かった。
<作品制作に込めた思い>
この話は、復讐や人間関係の葛藤が書かれているため、人の心情が伝わりやすいように、繊細に表現したい。
『霧の壁』『無用の隠密 未刊行初期短篇』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
主人公が表では何の役にも立たない存在とされながら、様々な陰謀や人間関係に巻き込まれていく物語です。
<作品制作に込めた思い>
人間の闇や悪を霧という言葉でモヤモヤとした感じを表しながら壁という言葉で強く表現しました。
『暗黒剣千鳥』『隠し剣秋風抄』(文春文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
ある秘密を固く守っている5人の仲間が次々と殺され、一番疑いたくない家老が犯人ではないかと思い始めたところから、確信するまでの複雑な思いが何とも切ないと感じました。
<作品制作に込めた思い>
するどい刀をイメージして、スピード感をもってシャープな線質になるようにかきました。
『告白』『神隠し』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
江戸時代を舞台にした小説で「善右衛門」という主人公が過去の罪を告白し、心の葛藤と向き合わせる物語で、感情が惹き込まれる作品だと感じました。
<作品制作に込めた思い>
主人公が自分の過去と向き合い、その罪を告白したときの真剣な思いを作品に込めました。
『夜の城』『冤罪』(新潮文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
雑木林の中の道をふさいだ柵の向こう側には廃城の跡と疫病に襲われた黒谷村があり、そこでは、殺人事件や不気味なことがたくさん起こって、とても怖くなる話だった。
<作品制作に込めた思い>
柵で閉じられ、人の出入りができなくなった静かな城を表現した。
『夕べの光』『長門守の陰謀』(文春文庫/講談社文庫)所収
<作品を読んでみての感想>
武士の時代に生きる男運に恵まれなく、二度も三度も切ない思いを繰り返すおりんが人生の一大決心をするのに心打たれました。
<作品制作に込めた思い>
武士の時代の町人たちの心移りを表せるようリズムが感じられる配置を考えました。