鶴岡市成人式における式辞について(2020年1月12日)
更新日:2020年1月14日
皆様、新年明けましておめでとうございます。
本日、令和の新しい時代の成人式を、故郷・鶴岡で迎え、新たな一歩を踏み出される皆様に心からお祝いを申し上げます。
大変多くのご来賓の皆様におかれましては、新年のご多用の中ご臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、見事な梯子乗りの鶴岡市消防団の皆様、そして昨年11月の全日本合唱コンクール金賞の鶴岡土曜会の皆様、誠にありがとうございました。
平成から令和へ、これからは新成人の皆さん、「あなた達の時代」です。こう言われると、何を今さら、と思うかもしれません。
昭和・平成をまたいだバブル景気は遠く、災害が頻発し、地方は少子化・高齢化、人口減少の難しい局面にあります。久しく唱えられている「地方の時代」という言葉も、虚しく聞こえているかもしれません。
それでも声を大きくして、「あなた達の時代」、令和の時代の故郷を担っていくのは皆さんなのだ、ということを今日お伝えしたいと思います。
その前に、先日、長寿100歳の賀詞をお渡しするために、市内各地に伺いました。訪問した朝日の大鳥では、手作りの手提げかごをいただきました。お祝いをお渡しして勇気づけるつもりが、色鮮やかな心のこもった品に触れ、元気をいただきました。羽黒の手向では、若い頃の戦争の時代のお話も伺いました。海老島町では、玄関の外まで出てきていただき、見送っていただきました。
それぞれの時代を支え、故郷を守り必死に生きて来た、そして今も自分のできることに取り組み、人に勇気を与えている、そのお一人お一人の生き方に、自然と頭が下がりました。人生の大先輩に感謝を伝えるつもりが、励まされる、その感動を、皆さんにもお伝えしなければ、と思っていました。
皆さんは、山形県沖地震の翌年、そして、東京オリンピック・パラリンピックの年に20歳を迎えた世代として、好むと好まざると、歴史に記憶されることになるでしょう。だから、これからの「あなた達の時代」は、より多くの歴史家の注目を集めることになるでしょう。
AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)、ユーチューバー、時代のスピードを更に加速する技術変革の波。私も若手の市長などと言われたりしますが、これからを担う次の世代の意見をしっかり取り入れなければ、良い仕事はできない、といつも考えています。スポーツ、芸術・文化、ビジネス、既に多くの20歳が活躍しています。少子化の中、働き方改革と生産性の向上を両立させるためには、若い皆さんの創造的な知見と社会参画が不可欠なのです。
何をなすべきか、「生きる意味」を求めて、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。「夜と霧」の作者・フランクルは、「人間が人生の意味は何かと問うよりも先に、人生のほうが人間に問いを発してきている」という有名な言葉を残しています。
人生の目標は何か、「生きる意味」を求めて思い悩む、学生時代の私もそうでした。人生の目標や、何をなすべきか悩む必要は本当はない、全ての人は、生きている中で、その人生から発せられる問いを発見し、毎日誠実に答えていけばいいのだ、というのが、フランクルの考え方なのです。
今現在、経済的に恵まれている人も、苦労している人も、障がいのある人も、ない人も、「どんな人生にも意味がある」、だから悩む必要はないよ、名著は、時代を越えて語り掛けてきます。
今日出席している皆さんに共通すること、それは鶴岡が故郷であるということです。
この街には、魅力があります。街の水族館やラーメン屋さんが「情熱大陸」で紹介される、直木賞作家が隣に住んでいる、こんな街はありません。何気なく訪れていた羽黒山や松ヶ岡、加茂の港や善宝寺、黒川能は、我が国を代表する歴史・文化遺産として認められています。庄内藩酒井家400年の城下街と世界に誇る食・先端・創造産業が共存する街、私たちの街は、どこにもない魅力がいっぱいつまった街なのです。
世の中にはお金で買えるものがあふれています。お金では買えないもの、住む人、訪れる人にしか味わえない、創造と伝統がある街・鶴岡。情報通信網や空港・道路の改良によって、物理的な制約は縮小し、地方では仕事ができない、という時代ではなくなっています。鶴岡から世界中で活用される製品が生まれ、ここにしかない文化、アイディアを求めて人が訪れるようになっているのです。地方こそが我が国発展のフロンティアであり、やはり「地方の時代」なのです。
私は、高校を卒業して故郷を離れ、東京などで暮らし、6年前に故郷へ帰って来ました。「故郷へ帰りたい」、自分の意志で、自らの選択で、鶴岡に帰って来ました。もっともっと若い皆さん、子育て世代に選ばれる街にしたい、と強く思い、行動しています。
2020東京オリンピック・パラリンピックの年の20歳の皆さん、皆さんを育ててくれた100歳、ご家族、地域の皆様、移住してきた人たち、全ての鶴岡市民が、皆さんの門出を祝福しています。世界中のどこにいても、皆さんは故郷とつながっています。令和の新時代の故郷を担うそれぞれの人生が温かく照らされることを、心より祈念申し上げまして、式辞といたします。
令和2年1月12日 鶴岡市長 皆川 治
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