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黒川能の心 王祇祭

更新日:2015年1月19日

鎮守である春日神社の年4回の例祭に、神事として黒川能が奉納されますが、中でも天地凍てつく旧正月に行われる「王祇祭」(おうぎさい)は最も重要なお祭りとなっています。

2月1日の未明、春日神社の神霊が宿る王祇様を上座、下座それぞれの民家(当屋)にお迎えします。座衆一堂に会しての座狩(総点呼)があり、振る舞いが行われた後、夕刻から幼児が勤める「大地踏」で黒川能は始まり、式三番、続いて能5番、狂言4番が夜を徹して演じられます。

翌2日には、ご神体が春日神社に還り、神前で両座が脇能を一番ずつ演じ、その後大地踏、式三番が両座立ち会いの形で行われます。祭りは、春日神社境内の階段をご神体を手に駆け上る「尋常事」(競争事)など様々な神事を織り込みながら、すべてが終了するのは夕刻に及びます。ご神体の衣布は翌年の当屋に授けられ、また1年をかけて準備に入ります。

王祇祭と黒川能は、お互いに命を与えあい支え合っています。そして黒川の人びとの生活サイクルは、王祇祭を中心にめぐっています。祭りと能と生活が一体となった村、それが黒川であり、黒川能の里です。


大地踏


朝尋常

式三番


三番叟

翁。それは、猿楽の能に古くから伝わる祭儀的な演目である「式三番」の1つ。式三番は、祭事のはじめに演じられるもので、露払い役の千歳(せんざい)、天下太平を祝福する翁(おきな)、五穀豊穣を祈願する三番叟(さんばそう)がある。
これらは、厳密に言うと能・狂言ではない別のもので、すべての点で能よりも古風な様式をもつ。そして、使用される面そのものがご神体で、役者は面をつけることにより神格を得る。上座のご神体の面が「白式尉(はくしきじょう)」と呼ばれ翁で使用される。下座の方が「黒式尉(くろしきじょう)」で三番叟に用いられる。形は違えども、この式三番は中央の能・五流等でも行われている。能から転じて歌舞伎にも取り入れられている。

所仏則の翁


所仏則の翁

黒川の場合、翁に「公儀の翁」と「所仏則の翁」の2種類あるのが特徴である。公儀の翁は、能太夫(座長)が舞い、王祇祭以外のお祭りではこの翁である。
所仏則の翁とは、上座の翁太夫である釼持源三郎家(椿出)に一子相伝で伝わるもので、その家のものしか舞うことが許されない。そして、この翁は黒川にしかない独特なものであり、王祇祭以外ではいかなる場合にも行われない。
それでは、所仏則の翁の発祥はどうなのだろうか。いろいろな説があるようだが、櫛引町史「黒川能史編」では、“能が始まる以前にも芸能があったが、能楽が入ってきてその時に創造されたもので、前からあった芸能と完全に絶縁するに至らず、したがって仏教色も抜け切らなかったところから、在所においてのみ演じる仏式の能という意味で「所仏則」と呼ばれたのでは”と分析しているが、“しかしその解釈も何か落ち着かない”と締めている。つまり、二通りの翁があることは、正確にはわからないのである。

黒川能名物 凍み豆腐

王祇祭で振る舞われるのが「凍み豆腐」。
このため地元では「とうふ祭り」とも呼ばれています。
祭りの前には、地区総出で2日間で約1万本が焼かれます。
これを凍らせてから味噌煮したものを二番というタレに付けて食べます。
凍み豆腐は、夜を徹して演じられる黒川能のもうひとつの名物になっています。

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