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第6回 今井俊典さん(亀の井酒造株式会社 代表取締役)

更新日:2024年11月27日


 全国の日本酒ファンの心を掴む「くどき上手」。吟醸蔵として名高い亀の井酒造(株)は、5代目が就任し次なる飛躍の時を迎えようとしています。引き継がれてきた技術に、新たなアイディアを取り入れながら次世代の地酒を醸している今井さんに、酒造りに対する想いや今後の展望をお伺いしました。


はじめに、「亀の井酒造株式会社」についてご紹介ください。

 明治8年に創業しました。創業から数えると来年で150年を迎えますが、その間、2回の廃業を経験しています。1回目が大火事、2回目が戦争時の企業統制によるものです。以降米農家を営んでいましたが、曽祖父が昭和31年1月に復活させ、昭和36年1月に現在の土地に移転しました。他の酒蔵さんと比べるとまだまだ歴史が浅いんです。4代目である父が他の酒蔵さんと一線を画すこだわりの酒造りを目指し、10号酵母を開発した小川知可良氏に師事して技術的に難しい吟醸酒造りに取り組みました。10号酵母を使って造り上げた渾身の酒が、昭和58年に開発した「くどき上手」です。この名前は、歴史書好きの母が「豊臣秀吉がいろんな人をくどき落として出世したように、日本酒業界でいろんな人をくどき落としてあなたも出世していけたら良いね。」という願いを込めて命名したものです。現在、「くどき上手」と冠される酒は50種類ほど製造しています。


小さい頃から亀の井を継ごうと思っていたのですか。家業を継いだ理由や思いを教えて下さい。

 亀の井を継ぐことは当然と考えていました。小さい頃から父が酒造りに真摯に取り組む姿を見てきたし、跡を継ぐことを直接言われて育ったからです。ただ、最初は日本酒そのものには全く興味はありませんでした。先輩杜氏たちの経験や知識を学びながら酒造りに真剣に取り組むうちに、日本酒の奥深さや面白みを感じ、さらに心から好きだと思えるからこそ、多くの人に伝えたいと思えるようになったんです。


日々、仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

 飲んでくれた人が感動し、「このお酒美味しい!」と一瞬でも手を止めてくれるようなお酒を造りたいと思っています。当社の酒造りには1000以上のチェック項目があり、一見同じに見える地味な作業でも味に大きな影響を及ぼします。気温や気圧等の些細な変化に対し、微調整を繰り返しながら造り続けています。ただ、そのこだわりの結果、市場に受け入れられないのでは意味がないので、時代や消費者ニーズに応える柔軟さも必要だと考えています。また、スタッフのモチベーションの維持や自分たちの技術レベルを図る「ものさし」として鑑評会に参加することも大切と考えています。
 くどき上手には、「Jr.」という銘柄があります。酒造り3年目頃に自分のお酒を造ってみたいなと思い、ゼロからレシピを起こし自分の発想だけで作ったのが「Jr.」です。より自分が理想とするお酒に近づけるようこれからも取り組んでいきたいと考えています。


課題や苦労していることはありますか。

 苦労だと思う事はないですね。私の中で仕事は「大人の本気の遊び」と捉えています。同じ目的を持った社員(仲間)を自分でみきわめて採用し、自分で選んだ機械を設備し、自分のスタイルで酒造りをする。そして、くどき上手の精神を理解してくれる全国の酒屋さんにお任せして売ってもらう。結果や責任はもちろん自分で背負いつつも自由に取り組めることが面白いと感じています。


手間のかかる丁寧な造りを行いつつ、出荷直前まで全商品冷蔵管理するという徹底した品質管理をしている。


今後の展望、チャレンジしたいことを教えてください。

 たくさんありすぎて(笑)。仕事をするうえで「日本最高峰の日本酒を鶴岡の食卓に届けたい」というスローガンを持っています。地元鶴岡の人たちには、あたり前にめちゃくちゃ美味い酒を飲んでもらいたい。何かに取り組む際はこのスローガンに当てはまっているかどうかを常に意識して判断しています。4代目の父は、くどき上手を地元で認められたいという思いで造ってきました。5代目の私の目標は、このブランドの価値をさらに高め、確立させたい。地元の人が都会にこのお酒を持っていった時、喜んでいただき誇りに思ってもらえるようなお酒を醸していきたいと考えています。

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電話:0235-35-1299
FAX:0235-25-7111

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