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第5回 伊関領平さん(有限会社仁三郎 専務理事 堅苔沢定置網漁業部「嶺神丸」船頭)

更新日:2024年10月31日


由良と堅苔沢で定置網漁業を、そして三瀬で旅館を経営する有限会社仁三郎の専務理事で、堅苔沢漁港に所属する定置網漁船「嶺神丸」の船頭を務める伊関領平さん。県内外の漁業者や販売業者と交流し、新しい技術や設備を積極的に取り入れ、常に新たな目標に向かって挑戦し続ける伊関さんに、漁業に対する想いや今後の展望などをお聞きしました。
 


はじめに「有限会社仁三郎」について紹介してください 。

明治頃だと思いますが、私の6代前の先祖 伊関仁三郎が今の旅館のある場所で漁業を始めたと聞いています。その後、仁三郎の子孫が昭和35年に由良と堅苔沢に定置網漁業部を設立し、昭和40年には釣り船宿の経験を活かして旅館を開業しました。
現在、弊社は、「第十八仁豊丸」と「嶺神丸」を操業して庄内で唯一の定置網漁業を営み、マアジ、サクラマス、イシダイ、ヒラメ、サケ、ワラサなどを水揚げして、由良市場や首都圏のデパートなどに出荷しています。
 


漁業を継ごうと思った理由を教えてください。

私は野球が好きで高校までずっと打ち込んできましたが、高校三年の夏の大会で負けて燃え尽き症候群になってしまいました。その時、先代である父親から誘われて漁業を手伝ったところ、目で見える範囲に置かれた網で大量の魚が獲れて、全部お金になるのを見て、「こんないい商売はない!」と思い、漁業就業を決めました。
そして父親に「嶺神丸」に乗ることを希望しましたが、まずは他所で修行するよう言われて高校卒業後に石川県の大型定置網の会社にお世話になり、修業中は台風やエチゼンクラゲで漁獲額が半減するなど大きな被害が出た約3年間でしたが、おかげでトラブルへの対応力を養うことができました。
修行が終わろうとしていた年、父親の方も台風で網が流されるなど大変な状況でしたので、私の方から地元に戻ることを伝えて「嶺神丸」に乗り、跡を継ぎました。


仕事に取り組む上で大切にしていることを教えてください 。

漁業は自然相手のため、いつも100%の仕事とはいかず、70~80%の仕事で妥協しなければならない場面が多いです。
例えば荒天で網が流されてしまった場合でも、やるべきことをやっていれば、悪い結果でも次回の材料になると考えて割り切れますので、とにかく最善を尽くして後悔しないよう、悪いことを引きずらないようにしています。

 
課題や苦労していることはありますか 。

一番は、やっぱり漁の模様が変わってきていることです。海水温上昇などで獲れる魚の種類や獲れる時期が大分変わってきていますので、我々人間がそこにフィットしていかなければならない、すごく難しい時代になってきたと感じています。
 


今後の展望、チャレンジしたいことを教えてください。

秋の漁が大部不透明になってきていますので、確実に利益を出すためには春の漁のボリュームを増やすしかないと考え、国や関連業者と相談しながら、現在の山形県内では行われていない大型定置網漁業の復活を模索しています。
新型の装備を備えた漁船「嶺神丸」があり、日本人とインドネシア人の乗組員も少人数ですが技術面や精神面で百戦錬磨の人たちばかりですし、私も若いので、新しい目標への挑戦に耐えられると思います。私の人生の集大成の一つとして成功させたいですね。
 

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