第10回 佐藤美嘉さん(有限会社末廣水産 加工品製造・販売担当)
更新日:2025年3月27日
鼠ヶ関で底曳網漁業と水産加工品の製造・販売に取り組んでいる有限会社末廣水産の加工品製造・販売担当を務める佐藤美嘉さん。結婚を機に夫の家業である漁業に携わることになった時の気持ちや今後の展望などをお聞きしました。
はじめに「有限会社末廣水産」について紹介してください。
この会社は、義父の佐藤末次が創業しました。義父は、高校卒業後に漁業を始め、サケ・マスの遠洋漁業や雇われ船頭を経て40歳頃に独立し、鼠ヶ関で漁業を営むようになりました。また、独立した義父を資金面で支えるため、義母も「浜でできる仕事」としてイカの加工に取り組むようになって末廣水産の形ができあがり、その後、平成7年に有限会社化しました。
現在は、夫が二代目となる14トンの底曳網船「第二十一末廣丸」を操業してタイ、ノドグロ、カニ、タラなどを、義父が磯見漁でサザエなどを水揚げし、義母と私がイカの一夜干し、イカの塩辛、塩引サケなどの加工品を製造・販売しています。
結婚して家業の漁業に参加することになった時の気持ちを教えてください。
私が結婚したのは30代半ばで、親戚の紹介で夫と知り合いました。私の実家は漁業とは縁もなく、私自身も10年間の一人暮らし中に魚をさばいた記憶がなければ、魚の種類もよく知らない状態でしたので、漁師の家に嫁いだ後の生活を想像できませんでした。
そのため、結婚当初は義母から教わりながら、イカの加工や水揚げした魚の選別作業の手伝いから始めました。慣れない仕事に加えて、漁師の仕事は天候次第なので予定を組めない、毎日が忙しい状況で大変な面もありました。でもタラやサケなどの大きな魚をさばけるようになった時には嬉しかったですし、タイやカレイの種類の見極めができるようになると楽しさも感じるようになりました。
仕事に取り組む上で大切にしていることを教えてください 。
我が家では漁業と水産加工業を営んでいますので、どこよりも早く魚を仕入れて加工することができます。庄内浜で獲れた新鮮な魚はシンプルな味付けと加工で充分においしいので、その本来の味を引き出すように心がけています。
また、私は義母から引き継いだ「地元の人に美味しく食べてもらえる製品づくり」にこだわっています。地元であれば、新鮮な商品を早く安く提供できますし、「んめっけの~。」といったお客さんの喜びの声などを直に聞くことができるのは、私の大きなやりがい、幸せの気持ちに繋がります。
課題や苦労していることはありますか 。
近年、漁業を取りまく環境が大きく変化しています。気候が変わって漁に出られない日が続いたり、漁に出ても魚が獲れないことや獲れる魚種が変化していること、油や網など資材が値上りしているのは漁業経営として不安なことです。
私個人としては、義母はなんでも手際よくこなす人なので、仕事をみて覚えようにも追いつけないことがあります。また、魚の煮付の味は、同じ材料・同じ手順のはずなのに、なぜか不思議とあの味になりません。私の性格がのんびり屋なので、義母のようになれる日がくるのか・・・不安ですね。
今後の展望、チャレンジしたいことを教えてください。
現在80歳代の義父と義母は、自身の努力はもちろんのこと、時代の波や人徳にも恵まれて末廣丸・末廣水産をここまで作り上げてきました。その業績と漁業の将来を前にすると、今の私は偉大な二人が築いた現状を維持することで手一杯になってしまっています。
しかし、身近に「長年の努力を重ねて義父を超える漁業者になった夫」というお手本がありますので、年数はかかっても私が「義母を超える味」をつくり出す日が必ず来ることを信じて、夫や家族、漁船の操業や荷捌きなどを手伝ってくれるスタッフの皆さんと一緒に日々の仕事に真剣に取り組んでいきたいと思います。
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