令和6年度鶴岡市市制施行記念式典 式辞(2024年10月1日)
更新日:2024年10月1日
合併して19年となる鶴岡市市制施行記念式典を開催するにあたり、謹んで式辞を申し上げます。
本日、市政功労表彰をお受け取りになられます 渡部長和 様、木古内を訪ねる会 様、小野木 覺 様、上野隆一 様、國井英夫 様、佐藤茂一 様、多年に渡る市政発展へのご尽力に、衷心より敬意を表する次第であります。
また、本年3月に名誉市民となられました酒井忠久様をはじめ、大変お忙しい中ご臨席賜りましたご来賓各位に厚く御礼申し上げます。
昨日、中央工業団地に立地するJVCケンウッド山形工場を訪問しました。世界中に業務用無線機、音響機器を供給する老舗メーカーです。本市のふるさと納税で連携させていただいているアマチュア無線機は、高品質な返礼品として大きな話題を呼びました。
確かな品質を生み出す生産ラインは、人による熟練の工程を残しながら、ロボットによる自動化の設備が導入されていました。最先端の製造装置を自らの工夫で生み出す、改善を重ねる職場の気風を感じることができました。
鶴岡第2中学校や鶴岡中央高校の生徒の皆さんが見学に訪れていることもご紹介いただきました。そうした地道な取組みで、若い世代に仕事の意義と魅力を伝える、世界とつながりながら地域と共にある企業の姿がそこにはありました。
本年度から後半5年の計画がスタートした本市の総合計画の大きな柱の一つは産業強化イノベーションです。
電子デバイスを中核とする本市の製造品出荷額は、最新の数値で約5,800億円となり、これまでの3位から初めて県内トップに躍り出ました。
こうした状況を反映し、本市の一人当たりの所得は、県内では最大の伸び率、7%アップの約302万円となりました。
現在、鶴岡西工業団地の隣接地に、約15haの新たな産業団地の造成に取り組んでいます。令和9年度の分譲開始を目指し、強みの電子デバイスなどの更なる集積に取り組んでまいります。
令和3年度に創設したつるおかエール奨学金返済支援制度は、4年目を迎え、認定者が256人となりました。最大約200万円の奨学金の返済を支援するこの制度を活用し、実際に就職した人は、66人となりました。特筆すべきはこのうち女性が6割強を占めていることです。
明日は、サイエンスパーク内の資生堂ファームラボを訪問します。国の地方創生拠点整備交付金を活用して令和4年に供用開始したレンタルラボF棟に入居している企業です。
女性も活躍できる、多様で、魅力的な職場をつくり、「つるおかエール」による支援や、医療費、学校給食費の無償化といった鶴岡で働き、暮らすメリットをアピールし、若者・子育て世代に選ばれる街づくりを推進してまいります。
昨日は、今月末に佐賀県で開催される全国障害者スポーツ大会に出場する大江春男選手、齋藤明美選手が市役所を訪問してくれました。フライングディスク競技に出場する大江選手と齋藤選手は全国大会の常連であり、過去に何度も金メダルを獲得している素晴らしい実績を誇る選手です。
本市では、総合計画の推進の中で、地域包括ケアの推進に力を入れています。住み慣れた地域で、子供から高齢者まで、障害のある人もない人も、それぞれの個性を尊重しながら、助け合い、生き生きと暮らしていける地域社会をつくる。そのためには、健康福祉行政と従来は交わることの少なかった産業行政から教育・スポーツ、防災、廃棄物までの行政分野をつなぎ、地域包括ケアという大きな旗印の下で団結する必要があります。縦割りを越えて、共に学び合い、連携、協働し、みんなが暮らしやすい街づくりを推進してまいります。
辰年の元旦、能登半島地震で1年が始まり、つい先日の9月の連休には豪雨が再び被災地を襲いました。当地域でも山形県沖地震から5年をじっくりと振り返る暇もなく、激甚化する気象条件の下では、災害のリスクが、いつどこで顕在化するか分からない、という現実が突きつけられました。特産のだだちゃ豆の生育不良は、種の保存と継承に地域ぐるみで取り組むことの重要性を私たちに問いかけました。
一昨日の第2学区での防災訓練では、赤川の水位の上昇と内水氾濫を想定して、避難所の開設から救助まで、本番さながらの総合訓練が行われました。河川の流下能力の向上や、雨水による冠水を未然に防ぐための幹線排水路の整備など、引き続き、災害に強い環境の整備と、迅速な避難体制の構築に取り組んでまいります。
今から40年前、大正13年に全国で100番目の市として発足した鶴岡市は60周年を迎えていました。当時、私は小学校4年生でした。その時、40年後の市民、つまり市制100周年を迎えた私たちに宛てた手紙が発出されました。タイムカプセルに守られて私たちに届いたその手紙には、鶴岡の魅力、未来への希望、合併の予言といったことが、今も色褪せることなく詰まっていました。
タイムカプセルを埋めた40年前、羽越本線が全線開通した100年前の人々にとって、今の鶴岡の街はどのように映るのでしょうか。
20年に一度の柿葺きの改修を終えた国宝羽黒山五重塔のように、私たちは、変わらないものを守りながら、時代に適応し、新しい魅力を作る努力を続けてきました。公益大も公設民営から公立化という新たな道を歩むこととなりました。
先日、採択保留となっていた観光庁の「高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」において、出羽三山を含む「山形エリア」が、「佐渡・新潟エリア」、「富士山麓エリア」と共に採択されました。
また、本日から「魚のおいしいまち鶴岡キャンペーン」がスタートします。12月にユネスコ食文化創造都市認定10周年を記念し、海外からの料理人を招聘した「ふうどフェスタ」を開催する本市では、ガストロノミーツーリズムの聖地として、基盤となる農林漁業や、3つの日本遺産、4つの国民保養温泉地、世界一のクラゲ水族館や黒川能など豊富な観光資源を活かした「全ての道は出羽に通ずる」戦略に取り組んでおります。観光産業を、農林漁業、製造業、バイオと共に、4本目の産業強化の柱とし、地域の未来を切り拓いてまいります。
また、中心市街地に新たな図書館の整備を推進するなど、中心部と旧町村が共に発展する街づくりに意を用いてまいります。
結びとなりますが、防災訓練の際、朝暘2小の校舎の中で、「分け入っても分け入っても青い山」、という種田山頭火が詠んだ俳句を見つけました。出羽三山と庄内平野、日本海に囲まれ、今も悠久の自然の中に生きる私たちは、来年、平成の大合併から20周年を迎えます。山頭火が俳句に込めたものは、迷いながらも生きる覚悟だったように思います。私たちは大いなる自然と歴史を尊び、新たな産業を起こし、創造と伝統の街を発展させていかなければなりません。課題は山積しておりますが、論語に「楽しむ者に如かず」とあるとおり、目標を掲げ、知恵を絞り、楽しんで街づくりをすれば、自ずと道は開けることでしょう。
鶴岡市の益々の発展と、ご参列の皆々様のご健勝とご多幸を心より祈念申し上げ、式辞といたします。
令和6年10月1日
鶴岡市長 皆川 治
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