広報つるおか2024.2月号
更新日:2024年1月25日
市長の一筆入魂(72)
大みそか、私は、西目の土砂災害の現場で献花を行った後で、羽黒山の山頂に伺った。松例祭は、時代の変化に伴う影響を受けながらも、門前町手向地区の本質が脈々と受け継がれてきた。その日、雨交じりの参道で日本の歴史と文化を体験しようとする、外国人の若い男女に出会った。とっさのことで英語はあまりうまく出なかったが、「位上」、「先途」の2人の松聖が控える補屋(しつらいや)をぜひ訪問すべきだと、身振り手振りを交えて伝えた。
元旦は、餅を焼いて、集落の公民館での新年会に出席していた。雪の少ない、穏やかな正月は、午後4時過ぎに一変した。能登半島で大きな地震が発生し、本市沿岸部にも津波注意報、次いで津波警報が発表されたのだ。午後5時30分には市災害対策本部を立ち上げ、翌朝午前10時に津波注意報が解除になるまで、対応に追われた。
能登半島の惨状は、時間の経過とともにより明らかになった。1月7日、朝目覚めると、この冬は雪が少なかった庄内平野がうっすらと白くなっていた。道路が寸断される中、厳しい寒さがやってきたのだ。救助、救援を待っている能登半島の人々のことが頭をよぎった。
鶴岡市立荘内病院では、1月6日に災害派遣医療チーム(DMAT)を能登半島に派遣した。医師1人、看護師3人、薬剤師1人、事務担当1人の計6人の専門チームだ。長かった新型コロナ感染症対応から災害時の命を守る活動まで、私たちの生活はふだんは目に見えない、多くの方々の努力によって成り立っていることを忘れることはできない。
本市では旧鶴岡税務署の跡地に、荘内看護専門学校の移転新築を進めている。来年4月からは、実習室や図書室などを充実した新しい校舎で、令和の新時代の看護師養成が進められる。
今年は、本市がユネスコ食文化創造都市に認定され10周年の節目の年、学校給食発祥の地ということも再評価される年にしていきたい。新しい給食センターには、行事食や郷土食、在来作物の種を守ることにも貢献できる、そんな仕組みを取り入れていきたい。また、旧鶴岡市の市制施行から数えると100周年の節目の年に当たる。市の中心部には、庄内地域では初となる中高一貫校・県立致道館中学校・高等学校が開設される。期待が高まっている新たな市立図書館本館の整備については、新年度から2か年をかけて、基本構想、基本計画を策定し、具体的な機能や建設場所等を明確化していく。
1月7日の二十歳を祝う会で、私は、歴史・文化は京都や金沢だけのものではない、とお話した。出羽三山や黒川能、獅子踊り、在来作物の生きた文化財まで、私たちが住む雪の降る街、城下街全体にこそ、まだ知られていない本当の日本の姿があるのだ。
宝島社が発行する『田舎暮らしの本』2月号において、人口10万人以上20万人未満の都市の中で、住みたい田舎の若者世代、子育て世代でベストテン入り(それぞれ4位、7位)した。100年のバトンを引き継いできた創造と伝統の街づくりに、若い世代にももっと参加してもらえるように取り組んでいきたい。
皆川 治
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