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広報つるおか2024.3月号

更新日:2024年2月22日

市長の一筆入魂(73)

 倒壊した家屋から大切な荷物を運び出す、それが大学生の私の役割だった。
平成7年1月17日に発災した阪神淡路大震災から間もなく30年。春休みを利用して、発災から約2か月経過した被災地を訪れた私の目の前に広がっていたのは、テレビで見た、巨大地震の力によって都市が破壊された姿だった。


 その関西でのボランティアに行こうと誘われた私は、学生が被災地に行ってもかえって迷惑を掛けるのではないか、と思っていた。行こうか、行くまいか、悩んでいたが、できるだけ邪魔にならないようにしよう、と心掛けながら、電車を乗り継いで現地に向かった。ボランティアに従事したのは3月20日頃だった。

 3月20日、東京では地下鉄サリン事件が発生、社会全体が騒然としていた。確か神戸市長田区にあったボランティアの拠点に集合し、作業に向かった。2か月たったにもかかわらず、目の前の光景は全く復旧が進んでいないように、私には見えた。崩壊した家屋が無数に広がる、まるで手の施しようのない状況に感じられた。案内された場所に到着し、自分では作業することが難しい高齢の家主が見守る中、倒壊した家屋からいくつかの荷物を取り出した。「ありがとう」という言葉を聞いたとき、迷惑になる、という私の考えは間違っていたことをはっきりと理解した。後に「ボランティア元年」などと呼ばれるようになった。


 2月1日、王祇祭に向かう前に、いこいの村公園内にある鶴岡市立農業経営者育成学校(略称:SEADS〈シーズ〉)を訪問した。その日の昼、研修生たちが修了生を交えて餅つき大会を開催しており、私も、久しぶりにきねを握り、餅を味わった。若い世代が夢を持って、農業を仕事にしたい、地域を元気にしたいと談笑する姿に勇気をもらい、若者を支えるスタッフを頼もしく感じた。餅とともに人気だったキムチは、研修生の日頃の食事を担当されている阿部絹さんの手作り。絹さんが、若者との触れ合いに生きがいを感じていること、研修生は日頃の食事に感謝と敬意の念を抱いていること、その関係に私は胸が熱くなった。


 『やくそくの「大地踏」』の絵本の一場面そのもの。王祇祭では、凍み豆腐の奥深い味と、すばらしい芸能を披露してくれた子供たちに魅せられた。


 王祇祭の翌日、鶴岡WBCプロジェクトの報告会に臨んだ。こどもまんなか社会の実現に向けて、市役所若手職員の柔軟な発想を活かそうと始まったこの取り組み。私自身にとっても政策の企画立案、そして実施とは何かを改めて考える機会を頂いた。若い職員の皆さんにとっても、日常の仕事から少し離れて、市民の皆様が抱える課題を把握し、分析し、対応策を考える、良いトレーニングになったことだろう。


 青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方をいう。有名な詩の一節のように、私も若い人たちと一緒になって、まだ見たことのない景色を求め、旅を続けていきたい。


皆川 治

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