広報つるおか2019.5月号
更新日:2019年5月1日
市長の一筆入魂(16)
3月下旬、8年ぶりにニューブランズウィック市への中学生派遣を再開しズウィック市への中学生派遣を再開した。英語力を試したい、と抱負を語ってくれた6人の中学生・若き現代の高木三郎(旧庄内藩士で米国ニュージャージー州の同市との姉妹都市交流のきっかけを作った人物)はどんな春休みを過ごしたのだろうか。4月には、自治体国際化協会(CLAIR)のニューヨーク事務所に本市から職員を派遣した。世界と交流する食文化、目前に迫ったオリンピック・パラリンピック、外国人の働き手の確保、そして庄内と海外の玄関口・成田を結ぶジェットスター・ジャパンの就航まで、私たちの暮らしは既に国際化の中にある。
平成18年4月から3年間、米国中西部の街・シカゴで暮らした。総領事館の領事・経済班長として、日本と米国との経済・文化交流を担った。その際、日本からのお客様をよくご案内したのが、コーンや大豆などの商品先物を扱うシカゴ商品取引所(CBOT)、そしてCBOTから独立して金融先物などを扱うシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)。
そのCMEグループの名誉会長であるレオ・メラメド氏は、杉原千畝氏のいわゆる「命のビザ」によって救われたユダヤ人である。杉原氏は当時のリトアニアの首都にあった領事館の副領事であり、昭和15年頃に、本国外務本省からの指示に係る要件を満たしていないユダヤ系避難民等に対し日本通過のための査証(ビザ)を発給した。レオ・メラメド氏は、そのビザによって両親と共に日本に逃れ、米国に渡り、世界初の通貨先物取引所を創設するなど、先物取引の発展に大きく貢献したのだった。CMEには日経平均先物など日本に関係の深い金融商品も上場されている。
シカゴに赴任したシカゴに赴任した平成18年は、リトアニア独立15年の節目の年であった。リトアニアと縁の深い杉原氏、そして日本とユダヤ人社会との関係、ユダヤ人がいかに杉原氏に感謝しているかを知ることとなった。
平成25年度末にアマゾン民族館と自然館が閉館となり、今も出羽庄内国際村に保管されたままとなっている資料の問題に向き合ったとき、私は、杉原氏の話が脳裏をよぎり、担当者にもその話をした。何かの縁で日本に、鶴岡にたどり着いた異国の資料。鶴岡で全てを保全することができないのであれば、資料の価値を認めてくれる誰かの下で、たとえ世界のどこであろうとも、その資料としての命、価値をつなぐ。それが一旦資料をお預かりした鶴岡市役所、そして所有者の責任である。
シカゴにも日本庭園があり、人々は盆栽を愛し、またシカゴ美術館には葛飾北斎などの作品が数多く収蔵されていた。世界初の先物取引所が大阪の堂島に開設されたのは享保の時代であった。平成から令和の御代へ、私たちにもつなぐ責任がある。
皆川 治
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