広報つるおか2024.4月号
更新日:2024年4月1日
市長の一筆入魂(74)
3月5日、鶴岡市は美食都市になった。正確に言えば、美食都市研究会と雑誌「料理王国」が共同で創設した美食都市アワードの初代受賞都市に選ばれたのだ。
「美食都市」とは、食文化と地域の魅力が融合した特別な都市とされる。アワード創設初年度の本年は、審査委員から推薦された51都市の中から10都市が候補としてノミネートされ、厳粛な審査を経て、本市、金沢市、京丹後市、帯広市、雲仙市の5都市が美食都市として認定された。
ユネスコ食文化創造都市に認定されて10周年の節目の年の快挙である。5日の美食都市アワード受賞記者会見では、アル・ケッチャーノの奥田政行オーナーシェフ、羽黒山斎館の伊藤新吉料理長、知憩軒の長南光代表、加茂水族館沖海月の須田剛史料理長、庄内ざっこの齋藤翔太料理人にも同席いただき、ともに喜びを分かち合い、これからの展望を語り合った。
今年1月には、「庄内の笹巻製造技術」が国の登録無形民俗文化財に答申されるといううれしいニュースもあった。2月10日には、FOODEVER(フーデェヴァー)において、笹巻作りの体験会が開催され、多くの参加者でにぎわっている。三角巻き、こぶし巻き、たけのこ巻き、地域によって異なる巻き方と、何と言っても灰汁(あく)を使った、黄色くゼリー状の笹巻が鶴岡の笹巻の特徴だ。
文化財保護法の令和3年の法改正によって、民俗文化財に新たなカテゴリーが創設されることを見越して、本市では、山形大学の江頭先生などの専門家とともに、地道な調査事業にも取り組んできた。その成果が花開いたわけだが、フーデェヴァーのイベントの盛り上がりを見て、食文化創造都市とは何か、ということが「笹巻」1つに凝縮されていることに気が付いた。保存食としての灰汁の活用、多様な巻き方を含むつないできた製造技術、そして何よりもそれに携わる人々の誇りと食べる喜び。分かりにくいと言われてきた食文化創造都市の市民参画と発信のヒントがそこにはあった。
3月10日、荘銀タクト鶴岡での「のど自慢」は大変な盛り上がりを見せた。814組の応募の中から全国生放送の20組に選ばれ、更にチャンピオン、審査員特別賞に輝いたそのパフォーマンスはすばらしいものだった。また、平成30年4月の大会での出場を逃し、リベンジに燃えていた方も多く、本番前日の200組の予選会も熱気あふれるものだったと伺った。改めて、チャレンジした全ての皆さんに心から敬意を表したい。
日本におけるビーガン料理の第一人者であり、国際舞台で活躍する杉浦仁志シェフは、「鶴岡はガストロノミーツーリズムの聖地である」と、昨年11月に開催された鶴岡ガストロノミーツーリズムサミットで語っている。今般の初代「美食都市アワード」の受賞は、それを裏付けるものとなった。
そして3月21日、「庄内の笹巻製造技術」は、官報に掲載され、正式に国の登録無形民俗文化財となった。食文化と観光を組み合わせたガストロノミーツーリズムは、10周年を迎えた食文化創造都市、美食都市の新たな推進力になっていく。
皆川 治
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