広報つるおか4月号
更新日:2018年4月1日
市長の一筆入魂(3)
三月、四月は別れと出会いの季節だ。
三月三日に行われた鶴岡市立荘内看護専門学校の卒業式。若い世代の決意に、思わず涙があふれた。
卒業生総代として在校生への答辞を務めた安達杏里さんは、大学を卒業した後、違う分野である看護の道に憧れ、再度学ぶことを決断したという。同じような年の頃、私に同じような決断ができたとは思えない。若いのに大したものだと感心してしまった。
安達さんは、入学後も、この道で本当に良かったのか悩む日もあったという。それを支えてくれたのはクラスメート達だった。未熟だと自覚しながら懸命に努力した実習の過程で直面した患者さんとの命の別れ。それでもその家族からかけられた感謝の言葉。生と死が隣り合わせの看護の尊さ、厳しさを改めて知り、物事への向き合い方が変わっていったことが伝わってきた。
私は、農家に生まれ、大学進学時には「(進学は)農学部しか認めない」と言われ、今になって思えば、その制約が逆に農業、農村、食料問題を真剣に考えるきっかけになった。同じような境遇の友人とは土地に縛り付けられているような気がすると悩みを打ち明け合ったこともある。三月からは就職活動も本格化しているが、私は、本当に自分は何をやりたいのか、それが見つかれば人生の就職活動は終わりだと、後輩たちと話すたびに伝えてきた。
人は何度でもその生き方を変えられる。だから、自分に求められていることは何か、そのことに向き合っていけば道は
二月十八日に、ファイナルと銘打たれた市民参加型のミュージカル・蜂子の皇子物語にも心打たれた。市民のミュージカルと侮るなかれ、羽黒高校文化部の発表会も兼ねた公演は、荘銀タクト鶴岡のオーケストラピットで同校吹奏楽部が生演奏し、プロも融合した迫真の演技と胸に迫るストーリー、歌声。鳴りやまないカーテンコールに、責任を果たした、あるいは最後の公演であることへの涙であろうか、演じ切ったキャストの姿が感動を大きくした。ファイナルにするには実に惜しい、と誰もが感じたはずだった。羽黒山になぜ皇子の墓が、なぜ異形のお姿を、多くの市民にも考えてほしい歴史ロマンの大作がいつかまた上演されることを期待したい。
昭和五十八年に統計を取り始めて以来の豪雪となったこの冬。例年以上に待ち遠しかった春がやってくる。一斉に草木が芽吹くように、新たな出会い、より多くの感動がありますように。
皆川 治
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