広報つるおか2020.9月号
更新日:2020年8月27日
市長の一筆入魂(32)
7月17日、鶴岡市は内閣府よりSDGs未来都市に選定された。
SDGsとは、「貧困をなくそう」など17の目標から成る国連が提唱する「持続可能な開発目標」のこと。と言うと何だか堅苦しい、難しそうだ。このSDGs、「誰一人として取り残さない」ということなのだ、と言えばぐっと分かりやすくなるのではないだろうか。鶴岡市の政策を、企業・市民活動を、誰一人取り残さないという「同じ絵」を描いて推進したならば、私たちの未来にはどのような世界が広がっていくのだろうか。
7月28日の大雨は、改めて東北一広い鶴岡市の特徴を思い出させることとなった。平成30年の大雨、昨年の山形県沖地震の際にも、鶴岡の災害は、広い市域の広範囲に及び、被害箇所数が多くなった。国庫補助の対象にならない、あるいは迅速な復旧という時間的な面からも、財政負担の軽減の面からも国庫補助を受けるためのメリットが乏しい小規模な被害箇所が多いという特徴があるのだ。大雨の発生から時間がたつにつれ、当初目に付きやすい市街地の冠水、浸水のみならず、中山間地の農地、林道の崩落などの報告が増えてくる。自然に抱かれた私たちの豊かな暮らしは、市街地から山間部、海岸部まで、みんなで水路を、農地を、山を、海を守っていることによって成り立っている。
自立分散型のまちづくり。対話と協働を通じて市民の力を最大限に引き出していくために、私は、広い鶴岡市のそれぞれの地域の個性と自主性を活かしたまちづくりが必要であると考え、政策を立案し実行してきた。就任後に創設した地域まちづくり未来基金とその財源を活用した未来事業は、自立分散型のまちづくり推進のための手段である。各地域に市のアドバイザー職員を派遣する制度とともに、地域をもっと良くしたいと取り組む皆様の思いを、活動を後押ししている。主役は市民自身であり、市役所は黒子なのだ。三瀬地区では、市よりももっと早くからSDGsに着目した地域づくりが進められてきた。藤島地域ではイルミネーションが冬の風物詩となり、第二学区ではみこしを再生し、祭りを核とした地域づくりが進められ、小堅地区ではこの夏、若者、よそ者が地域の皆さんと一緒に海辺のシェアハウス、内部にコミュニティキッチンを開設した。
7月30日、本市の国際交流員として活躍したミヨ・サラさんは、3年間の任期を全うし、本市の観光振興を担う地域DMO法人・DEGAMに移籍する際、「鶴岡の魅力は人そのものです」と教えてくれた。課題を発見し、解決する、魅力を発信していくのは、それぞれの地域に住む人にほかならない。市役所はその活動に寄り添っていく。
7月の大雨によって貯蔵庫が浸水し、飲用にはできなくなってしまった月山ワイン。4月に発足した株式会社YUKAIは「チットモッシェ」の足湯に、それに湯野浜温泉が続き、更には鶴岡シルク株式会社がワイン染めに活用し、もったいないの精神で、被災ワインの命を全うさせてくれた。困ったときはお互い様、コロナとの共生の中でも、災害に直面しても、誰一人として取り残さない、未来都市の責任を果たし、みんなが暮らしやすいまちにしていきたい。
皆川 治
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