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広報つるおか2019.4月号

更新日:2019年4月17日

市長の一筆入魂(15)

 政治家のなり手がいないという。政治だけではない、様々な職場で担い手不足、人材不足の問題が出ている。なぜだろう。どうしたら解決できるだろう。
 「何のために」ということを、常に自問し、あるいは人にも問うている。何のために働くのか。政治はどうあるべきか。公務員はどうあるべきか。何のためにこの事業を行うのか。
 「ほんとうの豊かさ」とは何だろうか。その解釈は、市民に委ねるべきだ、とした鶴岡市総合計画審議会の意見に、私は賛成だ。経済的・物質的な豊かさ、自然や歴史、精神的な豊かさ、どちらか一方とはなり得ないし、人によって豊かさの捉え方は異なるに違いない。
 審議会からは、「多様性」という言葉も、鶴岡の現状と未来を表すキーワードだとのご意見をいただいた。全く同感である。自然環境の多様性、在来作物の多様性、多様な伝統・文化・価値観を認め合う社会。そこから生まれる産業、創造的な活動。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みへの関心が高まる中、地球上の誰一人として取り残さない、という考えは、食文化の継承やお互い様の地域づくりをはじめ、鶴岡では脈々と実践されてきたことだ。だから、ほんとうの豊かさとは、多様性のある鶴岡らしさを取り戻すこと、と解釈することもできるだろう。
 3月6日、鶴岡東高校を卒業したばかりの阿蘓七瑚さんの表敬訪問を受けた。長身のエースとしてチームを県優勝に導き、日本女子ソフトボールリーグの厚木SCに入団することになったのだ。お父さんと共に、七瑚さん自身も取り立ての免許でハンドルを握り、車二台を連ねて、日本一とオリンピックを目指す、新しい夢の舞台へ向かうと言う。これからの前途に幸多からんと、願わずにはいられなかった。新年度、新しい学校、新しい職場、市役所でも人事異動が行われ、新人はもちろん、新しい部署、新しい役割で仕事がスタートする。民間も行政も、大事なことは、適材適所。多様な生き方とその個性を発揮するために、自分がやりたいこと、進みたい方向を意識し、経験を積んでいってほしい。
 2月10日、羽黒町婦人会の「婦人大学」でお話をさせていただいた際、私は、外山滋比古氏の『思考の整理学』という本を紹介した。もっと若いうちに読んでおきたかった本だ。当日、いつもどうやって原稿を書いているのか、と質問を受けた。「朝飯前」という言葉があるように、この本では、朝の頭で書き上げることを勧めている。どうやって仕事を進め、解決するか。「毎日、おいしい。ここで、暮らしたい。」という我が街の充実と具体化のため、朝飯前の時間を有効活用し、市民・企業の皆様と共に知恵を絞って取り組んでいきたい。

                                                                                  皆川 治

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